ITインフラの販売などを手掛けるトゥモロー・ネットが、新たに参入したAI事業に注力している。コンタクトセンターの業務を効率化するナビゲーションAIサービス「CAT.AI(キャットエーアイ)」の販売が好調で、2023年度は前年度比20倍の売り上げと大きく成長した。同社はパートナーを拡大し、さらに販売を拡大していきたい考え。
CAT.AIは、チャットボットとボイスボットを組み合わせることで、人とやりとりしているようなスムーズな対応がすべてAIで完結できるソリューション。22年3月から提供し、これまでの導入事例では、問い合わせの96%をAIが対応し、オペレーターへの転送率は4%となるなど、高い精度を出している。
松浦 淳 副社長
顧客ごとにカスタマイズするほか、業種ごとにパッケージした製品も用意。4月には、テクマトリックスのコンタクトセンターCRMシステム「FastHelp5」とのAPI連携開始を発表した。CAT.AIがヒアリングした顧客情報や応対履歴をCRMに自動で連携できるようになり、コンタクトセンター業務の生産性とCXの向上を実現する。
販売の拡大を目指す業種は、金融や輸送など幅広く、定型業務をコンタクトセンターで対応しているすべての業種をターゲットにする。松浦淳・取締役副社長は「オペレーターの人材不足などにより、AIを活用したいという需要はかなり大きい」とみている。
ビジネスの拡大に向け、23年9月には、CAT.AIのパートナープログラムを開始。新規パートナーを募集している。現状は直販の割合が高いが、間接販売にシフトしたい考えだ。同社はコンタクトセンター業務において、問い合わせに対して、顧客が求める情報にどう導くかという「CXデザイン」の要素を重視。テキストにすべきか音声にすべきかといった判断は状況によって異なるため、「パートナーには、顧客の要望をくみ取り、適切なコミュニケーションを構築する役割を期待したい」(松浦副社長)とした。
同社はサーバーやストレージの販売、保守といったITインフラ関連事業が主力だが、AI事業を成長領域として大きく投資していく方針。
(堀 茜)