電子情報技術産業協会(JEITA)は6月3日、新会長にパナソニックホールディングス(HD)の津賀一宏・会長が就任したと発表した。津賀氏は、同日の記者会見で、デジタル競争力を上げるために、サプライチェーンの強化が必要不可欠とし「達成に向けて産学官が連携する仲間づくりや仕組みづくりが一層重要になる」と呼びかけた。
津賀一宏 新会長
サプライチェーンを取り巻く環境について、サイバーセキュリティー対策やサステナビリティーへの対応、カーボンニュートラルのためのCO2の可視化といった課題が生まれていると指摘。これらを解決するにはデータの共有や連携、活用が必要になるとの見方を示し「サプライチェーンの問題は1社だけでは解決できず、複数の企業が協力し合うことが重要。このような活動こそ、デジタルを旗印に幅広い企業が集まるJEITAの特性が生かされる分野だ。コンソーシアムやプロジェクトチームなど、各課題に対応した組織体制を構築し、推進役としてリソースやネットワークをフルに活用する」と意欲を示した。
生成AIなどの急速な技術革新に対応するために、利活用のルールづくりや、社会や法制度と技術革新の調整も重点項目に挙げ「生成AIは著作権や個人情報保護、ハルシネーションなどの観点からリスクがある一方で、これからのイノベーションをけん引する重要な技術であり、この芽を摘まないことが基本的なスタンス」と強調した。その上で、「国内で個別にルールをつくるよりは、国際調和が取れたルールづくりを進める必要がある」と説明。独自のルールを設けることで、学習などの面でグローバルのデータを活用できなくなったり、ターゲット市場が限定されてしまったりといった非合理的な状況を生まないようにする考えだ。
(大畑直悠)