電子情報技術産業協会(JEITA、小島啓二会長=日立製作所社長兼CEO)は12月21日、電子情報産業の世界生産見通しについての調査結果を発表した。2024年はグローバル、国内でともに23年よりも生産額が拡大すると予測、国内は前年比6%増の伸びが見込めるとした。同時に、注目領域として生成AIに関する調査結果も公表。製造業を中心に国内でも生成AIの活用拡大が予想され、それに伴いデータセンター(DC)などのITインフラ需要が増大していくとの見解を示した。
(堀 茜)
小島啓二 会長
JEITAの調査によると、電子情報産業の23年の世界生産額の見通しは、前年比3%減の3兆3826億ドル。24年は前年比9%増の3兆6868億ドルで、過去最高になると予測した。成長の背景には、DXによる社会や企業の変革が世界各国で進み、電子機器やデバイス需要の回復、ソリューションサービスの需要拡大が見込めることを挙げた。品目別でみると、23年はソリューションサービスが過去最高を更新し、24年はソリューションサービスに加え、半導体も過去最高を更新する見通しだという。
一方、23年の国内生産額の見通しは前年比1%減の10兆8536億円。24年は前年比6%増の11兆5119億円との予測を示した。ソリューションサービスの伸長に加え、電子部品やデバイスの生産回復を成長要因として挙げた。
また、JEITAが注目する領域として、生成AIにフォーカスした調査結果も報告。世界の生成AI市場の需要は23年の106億ドルから、30年には2110億ドルと、約20倍に急成長するとの見通しで、日本も現在の15倍となる約1兆8000億円の市場に成長するとの予測を示した。業界別では、製造業が最大の成長分野とし、グローバルで年平均50%を超えて成長し、30年には507億ドル市場へと拡大すると推測した。
生成AIの広がりは、ハードウェア市場の成長を後押しするとの見解も提示。ハードウェア11品目の需要見通しでは、30年までの年平均成長率はグローバルで7.8%増、日本は6%増。特にインフラについては大きな押し上げ効果が見込まれ、生成AI活用に欠かせない膨大なデータの保管管理にサーバーやストレージが必要とされることから、DC需要が増大するとした。
小島会長は、24年の国内企業の成長について「日本はものづくりに強い点が世界的に評価されており、ものづくりにデジタルを掛け合わせることでより大きく成長する1年にしたい」と展望。生成AIの成長が見込まれるとした製造業では、スキルや技能などをデータ化し、伝承する際に活用が進むとの見方を示し、「生成AIは国内製造業の事業継続性を助ける重要なツールで、人材育成をサポートするテクノロジーになる」と期待を寄せた。JEITAによる各企業へのサポートについては「生成AI活用のガイドラインや指針、コミュニティづくりなどで支援してきたい」と述べた。
調査は、世界の電子情報産業の生産規模をデータにより明確にし、世界における日系企業の位置づけを把握するため、会員各社を対象としたアンケート調査の結果をもとに推計。07年から毎年実施している。