サードウェーブは6月19日、記者会見を開き、井田晶也・取締役最高執行責任者(COO)副社長執行役員が、8月1日付で取締役社長に昇格する人事を発表した。COOは引き続き兼任する。法人向け事業により注力するための人事で、今後3年で法人向け事業の売り上げ倍増を目指す。尾崎健介社長は、代表権のある会長兼CEOとなる。
8月1日付で社長に就任する
サードウェーブの井田晶也・副社長
社長交代について、尾崎社長は「コンシューマー向けに強みを持っている当社だが、生成AIが市場に広がっていくことが予想される中、法人向け、エンタープライズ市場で事業を拡大させていく方針の明確化が今回の体制変更の理由だ。BtoB市場を深く理解し、(業界での)ネットワークを持つ井田が社長として運営していく」と説明した。
新社長に就任する井田副社長は、2023年2月にインテルからサードウェーブに移り、副社長に就任。主にPC事業全般を統括してきた。法人向け事業での戦略については、▽業種業界に特化した営業戦略▽パートナービジネスの強化▽ハイエンドPCの需要に対応し新規顧客を開拓―といったポイントを説明。法人事業における注力エリアとして、CADなどを活用する設計デザイン、ゲームのグラフィックデザイン、映像クリエーションといった分野を挙げた。
法人市場の開拓にあたっては、AIがかぎになるとの見通しを示した。AI機能を搭載したPCは、24年のPC総出荷量の22%を占め、26年末までに企業が購入するPCはすべてAIが搭載されるとの予測を紹介。AI機能を搭載したPCやサービスを積極的に市場に投入していく意向で、「国産PCとしての高いクオリティーと同時に、企業ごとに異なるニーズに対応したようなカスタマイズオプションに迅速に対応する体制で製品を提供していく」と述べた。
尾崎健介社長(左)と井田晶也・副社長
法人向け事業について、今期の売り上げは昨年比1.5倍と好調に推移していると説明。一方で、井田副社長は、事業拡大していくための課題として「製品の企画の部分から法人向けにしっかりとつくり込んだものを発表していく必要がある」とした。
今後3年間で法人向けの売り上げを2倍に伸ばし、同社全体で1000億円の売り上げを目指すとの成長目標を掲げ、販売面については「パートナーとのエンゲージメントが重要になっていく」と展望。ディストリビューター、リセラーとの連携強化などにより、法人向け販売のエコシステム構築にチャレンジしていくとして「組織体制をしっかりつくっていく。3年ほどで礎をしっかり築き、法人のサードウェーブと言われるようにしていきたい」と意気込んだ。(堀 茜)