NRIデジタルは、利益シェア方式でユーザー企業と共同で新規事業を立ち上げる取り組みを加速させる。ユーザー企業が事業を始める際に必要となるIT投資は、ユーザー企業側の投資リスクが大きくなりすぎる課題があった。NRIデジタルでは利益シェアの契約を結ぶ代わりにIT投資の負担をユーザー企業と分け合い、互いの知見を持ち寄って新規事業を創出するビジネスを伸ばしていく。
利益シェア方式で有望視しているのが、年間30万人程度の利用者数、売り上げ規模が10億円程度、初期IT投資額が1億円規模のビジネス。大規模SIや巨大プラットフォーマーが寡占する大きな市場を狙うのではなく、地域経済の活性化など分散型のビジネスを志向する。従来の受託SI方式のビジネスモデルでは取りこぼしてしまう可能性がある新規事業案件を、利益シェア方式で獲得することで将来にわたる継続的な収益につなげる戦略だ。
新井 朗 CIO
新井朗・最高インキュベーション責任者(CIO)は「新規事業の立ち上げに二の足を踏むユーザー企業と、知見やリスクを分かち合うビジネスモデルを推進していく」と、利益シェア方式でしか獲得できないビジネスがあると指摘。
利益シェア方式のビジネスを巡っては、地方と継続的関係を持つ「関係人口」を増やす効果が期待できる日本航空の「どこかにマイル」、JR東日本の「どこかにビューーン!」などに共同参画してきた。ランダム送客と呼ばれる手法で、地方の魅力と偶然出会う“セレンディピティー”を演出している。ほかにも全国13の自治体と協業し、平日やオフシーズンに都市部のリモートワーカーを地方にランダムに送客。ワーケーションやその地方に興味をもってもらうイベントを通じて関係人口を増やし、地域経済を活性化させる取り組みを行っている。
(安藤章司)