米NetApp(ネットアップ)の日本法人は7月30日、2025会計年度の事業戦略説明会を開催し、AIワークロードを想定しストレージ製品の機能拡張を加速する方針を明らかにした。また、多くの企業にとってランサムウェアなどのサイバー脅威が深刻化していることから、データの安全性や事業継続を担保するためのセキュリティー機能も強化を図る。
同社の中島シハブ・ドゥグラ社長は過去1年の日本市場におけるビジネスについて、サブスクリプション型の従量課金制ストレージサービス「Keystone」の売り上げが前期比98%増と大きく伸長するなど、新しい提供形態へのニーズが国内でも高まっていることを紹介。調査会社によるデータでは、国内のオールフラッシュストレージの分野で、24年第1四半期にNAS市場における出荷容量シェアで57.7%を獲得したほか、SANを加えたオープンネットワーク市場でも同21.3%で首位となり、「日本法人として長年の悲願」(中島社長)を達成した。
中島シハブ・ドゥグラ 社長
中島社長は「多くのお客様との会話の中で共通する課題があり、最も多かったのはセキュリティーだ」と述べ、企業のデータが集積される場所であるストレージ製品においても、セキュリティー機能を強化する必要が高まっているとの考えを強調。同社では「地球上で最もセキュアなストレージ」の提供を目指しており、現在機能拡充を進めている新たなデータ基盤「インテリジェントデータインフラストラクチャー」において、ストレージ製品自身がランサムウェアを検出する機能を搭載しているほか、管理者権限を持つユーザーでもあらかじめ設定した期間内はデータを変更・削除できないバックアップ方式を新たにサポートした。
インテリジェントデータインフラストラクチャーは、AIの活用を想定してストレージ製品に求められる機能群を取りそろえていくという同社の新たなコンセプトで、AI開発のためにパブリッククラウドと連携した大規模なデータ基盤を構築する機能や、生成AIと企業内のデータを組み合わせたRAG(検索拡張生成)を実現するためのリファレンスアーキテクチャーなどが含まれる。また、ストレージ製品自体の運用効率化にもAIを積極的に活用していく。
(日高 彰)