BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)を手掛ける米Genpact(ジェンパクト)日本法人は、ユーザー企業の業務プロセス変革を前提としたBPOを徹底することで、国内外の安い人件費に依存しないビジネスモデルを構築している。業務プロセス変革の成果に伴う売り上げや利益などの達成目標をユーザー企業と共有した上でBPOを実行。財務的な目標を達成することでユーザー企業の満足度を高め、ビジネスを伸ばす。
深田アレン 社長
同社は日本のユーザー企業向けの人員として、国内約1000人、中国・大連に約3000人の体制を用意して業務変革コンサルティングやBPOサービスを展開しているが、中国をはじめとする諸外国の経済発展に伴う人件費が高騰。「人件費の格差で利益を生むBPOモデルはもはや成り立たなくなっている」(深田アレン日本法人社長)と指摘。ユーザー企業の売り上げや利益を伸ばす財務起点のコンサルティングやBPOサービスを実践することで乗り越えている。
同社では▽業務プロセスを見直す力▽先進的なITを駆使して効率化、自動化する力▽ユーザー企業とともに定めた数字目標を達成する力―の三つの力を重視。業務プロセス変革のコンサルティングサービスによって「財務的な利点を明確にした後に当社BPOを利用してもらえれば、さらによい結果を持続できる」(同)と訴求する。
直近では過去3年余りにわたって業務プロセス変革のコンサルティングサービスを行ってきた飲料メーカーのコカ・コーラボトラーズジャパン、飲料自販機などの設置・整備を手掛けるシンクランホールディングス(金沢市)と新会社を立ち上げ、2025年1月からは3社協働の新体制で業務プロセス変革を推進するプロジェクトも進行中だ。
ジェンパクトグループ全体の昨年度(23年12月期)連結売上高は、前年比2.4%増の44億8000万ドル(約6500億円)で、本年度売上高は前年度比4~5%の伸びを見込む。深田社長は「国内においても人件費格差に依存したBPOに限界を感じるユーザー企業が増えており、当社にとって大きなビジネスチャンスが到来している」とし、グローバルでの成長率より高い伸び率を目標に据えている。
ジェンパクトは05年の日本法人設立以来、国内70社余りのユーザー企業を開拓してきた。同社が製造業大手の米General Electric(ゼネラル・エレクトリック)から独立した経緯もあり、国内では自動車や精密機械など海外展開に積極的な大手製造業ユーザーが全体の半分余りを占め、購買調達やサプライチェーン管理、人事労務などのBPOを手掛けている。
(安藤章司)