キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)が、年商約80億円の中堅SIerのTCS(旧東京日産コンピュータシステム)をグループに迎え入れて半年余りが過ぎ、両社の強みを組み合わせる統合プロセスが急ピッチで進行している。キヤノンMJと傘下のSIerのキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)が強みとする製造業向けITソリューション体系やドキュメント管理などのアプリケーション領域と、TCSが長所とするITインフラ領域、EDI(電子データ交換)、ITアウトソーシングなどとの連携を深化。キヤノンMJグループにとっては、2008年の中堅SIerのアルゴ21以来の大型M&Aの相乗効果の最大化を狙う。
(安藤章司)
TCSは、日産東京販売ホールディングス(HD)グループ傘下だったSIerで、1989年の設立以来、日本IBMの特約店として業績を伸ばしてきた。キヤノンITSはIBM製品の卸販売を手掛けていたことから両社の取引関係が生まれ、23年10月のM&Aを機にTCSはキヤノンMJの100%子会社になった。
キヤノンITSの山岸弘幸上席執行役員(右)と
TCSの三浦吾朗取締役常務執行役員
全国のIBM特約店が組織する愛徳会会員でもあるTCSの強みは、IBMオフコンの旧AS/400(現「IBM Power」)時代から積み上げてきたITインフラの構築と、サーバーをデータセンター(DC)で預かっての保守運用サービス、そして1000社規模の顧客基盤にある。日産東京販売HDグループ向けのITソリューションビジネスだけでなく、全国の製造業向けのITインフラ構築でも豊富な実績を誇る。
キヤノンITSは製造業向けITソリューション体系「AvantStage(アバントステージ)」や、キヤノンMJが運用するDC設備を活用したITアウトソーシングに力を入れており、「まずは両社の強みとなる製造業向けやITアウトソーシングで相乗効果の発揮に取り組む」と、キヤノンITSの山岸弘幸・上席執行役員ITプラットフォーム営業統括本部統括本部長は話す。
また、TCSは自動車業界のサプライチェーン・システム構築の一環として受発注を自動化するEDI分野でも実績があり、キヤノンITS側も自社EDI製品「EDI-Master」を軸としたビジネスを手掛けていることから、「両社のEDI関連ノウハウを生かせる」(TCSの三浦吾朗・取締役常務執行役員ソリューション事業本部本部長)と手応えを感じている。
TCSの従業員数は約160人で、このうちITインフラ技術者を100人規模で擁している。キヤノンITSの山岸上席執行役員は「サーバーやネットワーク、EDI、DCを活用した保守運用といったITインフラ領域の技術者は慢性的に不足しているので、頼もしい味方になる」と強調する。
TCS側から見ると、「これまで手薄だった業務アプリケーション領域でキヤノンITSが持つさまざまなIT商材やSEとの連携できる」(三浦常務)と両社の強みを生かす施策に力を入れる。ほかにもドキュメント管理やローコード開発、映像ソリューション分野での連携も進める。
キヤノンMJグループにとってTCSのグループ化は、08年に実施した中堅SIerのアルゴ21の大型M&A以来となり、25年度にITソリューション事業の売上高を昨年度(23年12月期)実績から300億円余り上乗せして3000億円に高める目標達成に大きな役割を果たすことが期待されている。