キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は10月28日、事業方針説明会を開き、脱ホスト関連ビジネスの売上高を向こう3年で4倍に増やす目標を示した。メインフレームで使われるCOBOL系の言語をオープン環境で動作するCOBOLやJavaに変換するツールを拡充するとともに、企画段階から移行計画の立案、実装までの各工程の専門人材を充実させ、高効率で確実性の高い脱ホストビジネスを推進する。
▽オープン環境でも動作可能なCOBOL言語に変換▽Javaに書き換え▽業務プロセスの見直しを含めた再構築―の三つの選択肢を提示しつつ、最も短期間かつ低コスト、低リスクでオープン環境に移行するCOBOL言語への変換を基軸とする構えで、脱ホストによるメインフレーム維持費の削減効果を重視する考えだ。
村松 昇 常務
キヤノンITSがメインフレーム運用中の自社顧客に維持運用費についてアンケートを行ったところ76社から回答があり、年間平均8億円近い費用がかかっている結果となった。維持運用に従事する人員数は平均26人で、全体の2割が51人以上で運用していた。メインフレームからオープン系への移行に当たっては、確実に移行できるかどうかの安全性に加え、「移行にかかる費用がメインフレームを運用する維持費の削減に見合うかどうか」(村松昇・常務執行役員デジタルイノベーション事業部門担当)も重要な要素になる。
村松常務は「変換ツールの高度化で100%自動変換を目指して移行費用の圧縮に努める」とし、メインフレームのオンライン制御機能をオープン環境で動作可能にする自社開発ツールを10月28日に発表するなど自動化ツールの拡充に取り組む。
キヤノンITSでは過去30年で120件の脱ホスト案件を手がけてきた実績があり、専門人材の育成にも力を入れてきた。メインフレームを運用しているユーザー企業は国内に数百社あるとみており、短納期で効率的な脱ホスト案件の獲得を推し進めていく。
(安藤章司)