キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)とクラウド型録画サービスのセーフィーは2月12日、センサーデータ収集・活用のためのIoT基盤を開発する米MODE(モード)に一部出資する資本業務提携を行ったと発表した。キヤノンMJとセーフィーは防犯や施設管理などを行うネットワークカメラ分野ですでに協業関係にあり、新たにモードとも協業することで、生成AI技術のカメラ分野への応用やIoTデータ活用を加速させる。
左からセーフィーの森本数馬・取締役CTO、米MODEの上田学・CEO、
キヤノンMJの寺久保朝昭・センター長
モードは生成AI技術を積極的に活用しており、IoT基盤へのAIアシスタント機能の実装を進めている。3社の協業によって、例えば「工事現場で『ヘルメットを被らずに入場しようとする人を終日監視する』といった用途でカメラを活用しやすくなる」(モード共同創業者の上田学CEO)と話す。ほかにも、通過した車の台数を24時間体制で数えたり、異変を感知して担当者に報告したりするなど、AIが人間に代わってカメラ映像やセンサーを監視する用途の幅が広がる見込み。
セーフィーはカメラ映像の分野に軸足を置いているため、「温度や振動といった各種のIoTセンサーから得られるデータ管理に強みを持つモードとの協業によって、得られるデータの種類が増える」(森本数馬・取締役開発本部本部長兼CTO)ことを期待する。キヤノンMJは「生成AIが持つ認識能力をカメラやセンサーに付け加えることで、人手を介さずに監視業務を行うことが可能になり、人手不足の課題解決にも役立つ」(寺久保朝昭・マーケティング統括部門ソリューションデベロップメントセンター長)と見ている。
モードは建設・土木分野に焦点を当てたビジネスに重きを置いているが、「IoTと生成AIの組み合わせは、あらゆる業種・業態で需要が見込める」(上田CEO)とし、販売網や業種ノウハウを持つキヤノンMJやセーフィーとの協業を通じて、国内での業種展開に弾みをつける考え。モードでは2027年末までに国内6000台規模のカメラと接続し、生成AIを活用したデータ解析を目指すとしている。
なお、モードは業務提携を伴うキヤノンMJとセーフィーのほか、キリンホールディングス、KDDI傘下の投資ファンドからも出資を受け、4社合計で約8億円の資金を調達している。(安藤章司)