TISインテックグループでアウトソーシング事業を手掛けるアグレックスは、顧客の業務プロセスの継続的な変革を支えるビジネスプロセス管理(BPM)サービスを重点的に伸ばす。事務作業などの手作業を請け負う従来型のビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)方式からBPM方式へと軸足を移す。並行してTISインテックグループや海外提携先との連携を深め、ITソリューションからBPMに至る一連のバリューチェーンの輪を広げていく。
同社がBPMへの移行を急ぐ背景には、生成AIの急速な進展が挙げられる。AIによって事務作業の自動化の割合が増えるのは間違いなく、従来型のBPOの伸びが鈍化することが考えられる。BPMの国際標準業務フローのBPMNなどをベースとしてユーザー企業の継続的な業務変革を伴走型で支援することで成長を目指す。
柳井城作 社長
4月1日付でトップに就任した柳井城作社長は、事業持ち株会社のTISの副社長を兼務。「TISインテックグループの技術やサービスとBPMを組み合わせてユーザー企業の業務プロセスを変革するバリューチェーンを構築する」と、アグレックスのBPMをグループの戦略事業の一つと位置付ける。
2025年1月には、グループ会社のネクスウェイが手掛けるスマートフォンのショートメッセージ(SMS)送信サービスと連携して、支払いを失念している人にSMSで支払いを促すサービスを始めた。家賃の支払いや、学習塾の月謝、弁護士の顧問料などをサービス対象として想定したもので、従来の人手による電話や郵送、ファクスなどを使った支払い催促の業務を大幅に削減できるようになった。マルチ決済サービスと組み合わせることで、SMSを受け取ったその場で支払いをしてもらうことで収金業務の効率化を実現している。
また、TISが一部出資して資本業務提携の関係にあるインドネシア大手SIerのAnabatic Technologies(アナバティック・テクノロジーズ)は、子会社でBPM事業を手掛けていることから「将来的に連携することも視野に入れる」(柳井社長)と、海外のグループ会社や関連会社とのバリューチェーンの輪も広げることで成長可能性を追求する。
アグレックスでは営業支援の「Salesforce」などの他社ITソリューション販売も手掛けており、これらITソリューションを切り口としたBPMの提案にも力を入れる。直近の売上高構成比はITソリューションとBPO/BPMがそれぞれ半分を占めており、ITソリューションとBPMを車の両輪として伸ばしていく方針だ。
(安藤章司)