キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、社員食堂(社食)向けに画像認識による自動精算システムを開発し、7月下旬から販売する。社食の自動精算では食器に無線タグを取り付けて精算する方法が主流だが、食器洗浄機で洗浄するなどした際に無線タグが破損しやすい課題があった。キヤノンMJでは新規に食器認識AIエンジンを開発し、無線タグに代わる手段として提案。2030年までに全国の社食の自動精算システムにおいて3割のシェア獲得を目指す。
佐久間 翔 課長代理
食器のかたちを食器認識AIに学習させ、カレーや豚カツといった料理にひもづける仕組みで、「無線タグがついた食器と料理をひもづける従来の運用を変える必要がなく、導入のハードルが低い」(佐久間翔・映像ソリューション企画課課長代理)のが特徴。自動精算システムの1セットの年間利用料は約500万円で、既存の無線タグ方式とほぼ同等の価格帯を想定している。食器に無線タグを付けなくても済むため、食器の購入コストは最大で85%削減できるとキヤノンMJでは見ている。また、電子レンジが使えなかったり、鉄板など金属製食器に使えなかったりといった無線タグ特有の問題も解消できる。
東京都大田区にあるキヤノン本社の社員食堂。
食べ終わった皿を認識して精算している
キヤノングループの全国44カ所の社食で検証し、従来の無線タグ方式と同等の処理性能を実証。そのまま実運用に移行している。全国で自動精算システムを導入している約3000カ所の社食のうちシェア3割の獲得を目指すとともに、社食を通じて社員の健康管理に役立てるシステムの開発や、介護施設の給食など他業種への横展開も視野に入れる。
(安藤章司)