NECは5月30日、統合基盤を活用したDX事業「BluStellar」の成長戦略を説明し、同事業で提供するサービスを業種・業界ごとに定型化したシナリオ「BluStellar Scenario」を拡充する方針を示した。顧客ごとに個別の要望を聞いてシステム開発する必要がなくなるため採算面でのメリットを見込めるとした。同日に開いた記者説明会でBluStellarの中長期的な目標として、売上高1兆円、調整後営業利益率20%を目指す方針を示し、森田隆之社長兼CEOは「次の中期経営計画で視野に入れる」と述べた。
森田隆之 社長兼CEO
BluStellar Scenarioは顧客や自社のDXの取り組み実績から成功要因を抽出して作成している。約500ある商材からパッケージ化した150セットのオファリングを組み合わせ、コンサルティングからシステム構築、運用、保守までを一貫した型に落とし込む。現時点で30セットをそろえ、ベストプラクティスの迅速な提供が可能になったという。
ガバメントクラウド向けのシナリオでは最短5日でシステムの移行を完了できるようになり、53の官庁・自治体に導入されている。
今後のシナリオの拡充の方向性としては、スイスAvaloq(アバロク)やデンマークKMD(ケーエムディー)などの子会社と連携し、金融や行政といった業界ごとのシナリオを強化する。パートナーシップの拡大も進めるとし、スウェーデンIFS(アイエフエス)との提携で、製造業向けのシナリオを充実させると同日発表した。
吉崎敏文 CDO
BluStellar事業を統括する吉崎敏文・Corporate SEVP兼CDOは「(BluStellar Scenarioは)提供するDXサービスで最も提供価値が具体化されたもので、最も利益率が高い」と強調し、シナリオをベースとしたビジネスを今後の成長の軸に据える姿勢を強調した。
2024年度のBluStellarの事業規模は、国内ITサービス事業の3分の1を占める5424億円に上っている。将来的にはこの比率を7割まで引き上げる計画だ。森田社長兼CEOは、既存のSIビジネスに対するBluStellar事業の優位性を「(実績を基にするため)最終的な価値を顧客にイメージしてもらいやすい。これが分かれば顧客が目指すゴールとBluStellarが提供する価値とのズレを把握でき、カスタマイズなど顧客に最も効率的に価値を届ける業務に集中できるようになる」と説明した。
(大畑直悠)