NECは5月8日、記者会見を開き、サイバーセキュリティー事業を強化する方針を示した。10月から正式に稼働を予定するセキュリティー施設「Cyber Intelligence & Operation Center」を公開したほか、同日に発表したKDDIとの協業などについて説明した。「.jp(日本のサイバー空間)を守る」をスローガンに、高度なセキュリティーサービスを提供する。
サイバーセキュリティー事業の強化に向けて、「NEC独自のインテリジェンス」「国産AIセキュリティ技術」「グローバルでの推進体制」の三つに取り組む。さまざまな脅威情報を集約してAIで分析、地政学的観点なども考慮した独自の脅威インテリジェンスの開発を推進する。自社生成AI「cotomi(コトミ)」などを活用し、AIエージェントによるセキュリティー運用業務の高度化といった支援を行うとした。
グローバルでの推進体制を構築する上で、中核となるのがCyber Intelligence & Operation Centerだ。従来のSOC機能に加えて、脅威インテリジェンスによる予兆把握、対策提案、地政学リスクを考慮したインシデント対応支援・報告といった機能を提供する。2026年度以降にアジア太平洋地域、欧州、米国にも順次開設する予定で、グローバルで事業展開する企業に対してサービスを展開する。
森田隆之 社長
取り組みの強化を目的に、KDDIと協業に向けた基本合意書を締結した。NECの知見とKDDIの子会社であるラックのセキュリティー運用監視のノウハウや保有する脅威情報など組み合わせることで強固なセキュリティー基盤の構築を目指す。NECの森田隆之社長は「日本のデジタルインフラを守るためにはパートナーとの協業が不可欠だ。日本企業、政府機関を守るためのセキュリティー基盤を共同で構築することで、国内最大規模のセキュリティー事業を展開したい」と力を込めた。
(春菜孝明)