NECは11月14日、ファイルサーバー用のNAS製品と、米Wasabi Technologies（ワサビ・テクノロジーズ）のクラウドストレージをセットにした「ハイブリッドNAS for Wasabi Hot Cloud Storage」を発売した。オンプレミスのファイルサーバーの利用方法を変えることなく、クラウドを利用した容量の拡張やBCP対策を簡単に行える点がメリット。価格は、NASの「iStorage NS100Tm」が80万円、クラウドストレージのライセンスが18万円（10TB／6カ月、保守サービス込み）から。
 
　オンプレミスに設置したNASにファイルを保存すると、自動的にクラウド側に複製される仕組みとすることで、ユーザーは従来のファイルサーバーの利用方法のままで、クラウドストレージを活用できる。NASの内蔵ストレージは2TB HDD×2だが、一定期間アクセスがないファイルは属性情報のみを残して自動的に消去することで、内蔵ストレージ容量以上の大きな保存領域を利用でき、不足の際もライセンスの追加だけで容量を拡張できる。アクセス頻度の高いファイルはNASを直接参照し、アクセス頻度の低いファイルはオンデマンドでクラウドからダウンロードする形態となっている。

　災害などでNASが故障・停止した場合も、同じiStorage NS100Tmを購入して再設定するだけで再びファイルにアクセス可能となるので、BCP対策にも有効。属性情報のダウンロードは短時間で完了するため、リストア作業を行わなくてもすぐに業務を再開できる優位点もある。

　NECでは、クラウドストレージサービスの中では容量あたりの費用が低価格なほか、データのアップロード／ダウンロードとも通信料がかからないことから、Wasabiを連携先として選定した。容量と利用期間のみで価格が決定するサービス体系とすることで、コストを見通しにくいことが理由でクラウドストレージの導入に踏み切れない中小企業にも利用しやすくした。なお、本サービスはNASとライセンスのセット購入時のみ導入可能で、既存のNEC製NASユーザー向けにライセンス単体の販売は行っていない。
（日高 彰）