SCSKはグループ傘下のネットワンシステムズと2027年4月に合併すると9月19日に発表した。24年12月にネットワンシステムズを子会社化した当初は、26年4月をめどに合併を検討するとしていたが、1年先送りにする。今の経営形態は維持しつつも、個々の事業の再編は先行して実施する予定で、26年4月には両社がそれぞれ持っている「ディストリビューター事業などの事業統合や、事業部門の各層で相乗効果を高めていく施策を先行して実施していく」と、SCSKの當麻隆昭社長は話す。
SCSK
當麻隆昭
社長
事業再編で期待できる相乗効果として、両社顧客に向けたクロスセルと、セキュリティーを基軸としたSI/NIサービスの提供の二つを想定している。SCSKの既存顧客数は約8000社、ネットワンシステムズの既存顧客数は約1700社だが、うち重複する顧客は全体の2割に過ぎず「クロスセルの余地は大きい」(SCSKの大澤満・執行役員ITインフラサービス事業グループ副グループ長)としている。まずは重点顧客約70社を選定し、SI/NIを融合させた統合ITインフラ運用サービスなどの共同提案に力を入れる。ネットワンシステムズの竹下隆史社長は「すでに両社社員同士で活発な議論を進めている」と話す。
SCSK
大澤満
執行役員
セキュリティーを基軸としたSI/NIサービスでは▽アプリケーションとハイブリッドクラウド全体の設計・実装▽統合マネージドサービスの提供▽OT/IT融合による価値創出―の三つの柱で取り組む。両社個別の既存事業の成長を除いた、クロスセルなどの相乗効果部分のみの2030年度(31年3月期)売上高目標を500億円に設定。うち400億円はハイブリッドクラウドや統合マネージドサービスなどセキュリティーを基軸とした売り上げが占め、この分野の営業利益率は20%程度と高い目標を掲げる。残り100億円は製造業向けのOT/IT融合サービス、自動車向けシステム開発といった新規領域で主に売り上げを立てる計画だという。
ネットワンシステムズ
竹下隆史
社長
統合マネージドサービスでは、両社のマネージドサービスを組み合わせ、一つの窓口でアプリケーションからITインフラ、ネットワークに至るまでワンストップで提供。外部からの攻撃やシステム障害への対応力を高める「高度なデジタル・レジリエンスを実現する」(當麻社長)としている。自動車向けシステム開発では、10月30日から都内で開催予定の「Japan Mobility Show 2025」にSCSKオリジナルの最新SDV(ソフトウェア定義型自動車)の完成車を展示し、両社の技術力を自動車業界にアピールしていく予定。
経営統合に関連して、業務効率化や管理部門の最適化により、26年度から3年で累計60億円余りのコスト削減が見込めるとしている。このため、30年度までの累計で社内ITシステムの刷新に120~140億円、オフィス統廃合に100~120億円を投じることを想定している。同社ではSCSKグループ全体で30年度をめどに年商1兆円の達成を視野に入れており、「今のCAGR(年平均成長率)を維持すれば十分に達成可能。営業利益は1500~1700億円を想定している」(同)と、将来構想を語る。(安藤章司)