Special Feature
熱中症から命を守る 猛暑対策ITソリューション
2025/09/01 09:00
週刊BCN 2025年09月01日vol.2073掲載
(取材・文/堀 茜)

SCSK
工場の見える化製品を熱中症対策に転用
SCSKは、工場内の見える化を実現するIoTソリューション「CollaboView」を、熱中症対策に活用できる製品として拡販に力を入れている。CollaboViewは、センサーから集めたデータを可視化したり、AIで分析したりする工場内の見える化ソリューションだ。熱中症対策の義務化に先行して、2022年に溶接現場での有毒ガスの測定が義務化された際、ガスの測定に応用した事例があった。厚労省の熱中症対策義務化によるニーズの高まりを受け、センサーを変えれば暑さにも対応できるとして、暑さ指数(WBGT、湿球黒球温度)を測定する環境モニタリング製品に転用。25年から熱中症対策用途での訴求を強化している。

白川正人 本部長
同製品は、工場内の機械の振動を検知し、適切な時期にメンテナンスができるようにする「予知保全」としての活用が多い。まだ使える機器でも、一定期間が経過したら念のため交換する「予防保守」と比較し、交換時期の最適化により最大でコストを80%削減できる点が評価されている。ITインフラサービス事業グループクラウドサービス事業本部の白川正人・本部長は、「費用対効果が高い予知保全で導入した企業に対し、同じシステムで熱中症対策ができるとアップセルするのが中心になっている」と現状を説明する。
強みとして、子会社のSkeedが開発しているネットワークプロトコルの搭載を挙げる。この技術では、ネットワークにつながる機器を自律的なノードとして相互に接続することでオーバーレイネットワークを構成する。センサーを設置するだけで、設定なしでネットワークにつながるため、ITに詳しい人材がいない環境でも使いやすくなっている。
導入事例として、山形県米沢市で有機ELデバイスの開発製造をするソアーは、工場内で全面的にCollaboViewを導入している。人感センサーで立ち入り禁止エリアを監視したり、傾斜センサーで転倒を検知したりといった幅広い領域で活用する中で、温湿度センサーによる熱中症対策も実施。同事業本部Skeedビジネス推進部の大槻泰夫・部長は、「対応できるセンサーによって多様なデータが取れるので、働く人の危険度を管理することも含めて、適切な提案ができる」とアピールする。工場がオートメーション化されていて、クリーンルームなどがある比較的規模の大きい工場などを顧客として想定。人の配置がまばらだと、人が倒れていても気づかないという事故が起こりうるため、安全衛生管理用途として提案していく考えだ。

大槻泰夫 部長
同社は、個人の脈拍などバイタル情報を計測するデバイスを開発中で、環境モニタリングに個人データを掛け合わせて、AIで相関分析をフィードバックする方向でさらなる開発を進めている。またSIerとしての強みを生かし、ITとOTのネットワークの接続や、セキュリティーを包括的に提案するコンサルティングサービスも実施している。
販売について、現状は直販が8割、間接販売が2割だが「これを逆転させていきたい」(大槻部長)との方針だ。工場内でネットワークやセンサーの設置にあたり高所作業などができる業者を販売代理店に想定。全国各地で電気工事ができるネットワークを持つ企業と協業を進めており、代理店経由の事業を拡大していく考えだ。白川本部長は「熱中症対策をきっかけに当社のソリューションを知ってもらい、工場全体の安全管理や、リスク回避などデータを活用していくビジネスにつなげていきたい」と展望する。
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