中国Lenovo(レノボ)ブランドのサーバーやストレージなどのITインフラ製品の国内事業を担うレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(LES)は、日本国内での検品を強化している。納品前のキッティングを国内で行うことで、品質を担保する狙い。同社とNECレノボ・ジャパングループは10月、山形県米沢市の米沢事業場を公開し、工程について説明した。
サーバーなどを検品する米沢事業場の一室
検品の対象は「ThinkAgileシリーズ(HCI)」やストレージ製品(DE/DG/DM)。中国の深センやハンガリー、メキシコのレノボの工場から出荷された製品が米沢事業場に運び込まれる。状態の確認をはじめ、BIOS、ファームウェアのアップデート、ソフトウェアのプレインストールなどの各種設定を行う。
検品の様子
米沢事業場を経由しない場合の納期より1週間程度多くかかるため、直接納品する場合もある。ただ、顧客先でのオンサイトの作業は直接納品の3~4日間に対し、米沢経由は1~2日と短縮。初期不良の早期発見や顧客の立ち会いの負担軽減にもつながる。外箱に貼られる「米沢工場 検査製品」のシールが検品の証しとなる。
検品したことを示すシール
キッティングサービスは「米沢ファクトリー・インテグレーション・サービス(FIS)」として2016年に始まった。LESの張磊(チョウ・ライ)社長は▽イノベーション▽品質の追求▽サービスと統合された製品―の3本柱の価値創造の一環で、25年4月から処理台数が増えていると明かした。顧客へのサービス認知向上を図っているという。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ
張 磊社長
米沢事業場の大部分を占めるPCの製造工場も公開した。ここではNECパーソナルコンピュータの法人向けと、コンシューマー向けの3~4割、レノボ・ジャパンの「ThinkPad」の一部モデルをつくっている。
生産を効率化する「Smart Manufacturing」を推進し、ロボットの導入を進めたことで、全体の約45%の自動化を実現したという。現在は「ABLAZE(アブレイズ)」と呼ぶ組み立てや検査の工程で自動化を図り、2026年度には自動化の比率を60%まで引き上げる。(春菜孝明)
ロボットによる自動化が進むPCの製造ライン