Special Feature
NECブランドPC法人向けで再浮上へ 販売統合を経たNECPCの戦略
2025/10/13 09:00
週刊BCN 2025年10月13日vol.2078掲載
(取材・文/春菜孝明)

バージョン「3.0」を標榜 一気通貫体制を構築へ
「NEC PC3.0」 7月30日の事業戦略説明会でNECPCは、体制変更を新たなスタートととらえ、こう表現した。同社による法人向け新製品発表会も初めて開催し、法人事業への注力を印象付けた。NECブランドPCのバージョン「1.0」は1979年、NECが「PC-8001」を発売したことに始まる。2000年前後からの競争激化を経て、11年にNECと中国Lenovo(レノボ)が合弁会社「Lenovo NEC Holdings」を設立。傘下にNECPCとレノボ・ジャパンが入った。NECPCは、NECパーソナルプロダクツのPC事業部門が分社化したかたちだった。このタイミングが「2.0」だったというのがNECPCの認識だ。

「3.0」で目指すのは、売上台数やシェアの向上だ。企業活動であれば当たり前とも言えることだが、あえて打ち出したのは、これまでの組織体制が背景にある。
従来、NECPCはNECブランドPCの製造を担う一方、法人向けの販売はNEC本体が手掛けていた。ただ、近年のNECはハードウェアを主体にしたかつてのビジネスモデルから離れ、ソリューション事業へのシフトを鮮明にしている。20年頃からはDX事業を本格化させ、24年には「価値創造モデル」と位置付ける「BluStellar(ブルーステラ)」を発表している。つまり、NECのポートフォリオにおけるPCの存在感は日に日に薄まっている事実がある。

また、NEC本体とNECPCの2社に分かれたことで、「情報の連携などに壁があった」と、NECPC執行役員の飯田陽一郎・コマーシャル営業推進本部長は振り返る。NEC出身者が社内にいてカルチャーは共有されていたものの、別会社のため方針やKPIは異なり、「ずっともどかしく感じていた」と明かす。こうした複合的な要因もあり、法人向けPC市場でシェアを下落させていたと、飯田執行役員は認める。
その流れの中で、24年10月に両社が販売機能の移管を発表した。▽経営資源の一体化による競争力のある製品開発▽販売パートナーと連携した迅速なカスタマーケアの提供をはじめとする、トータルバリューの向上─などの方針を掲げた。25年3月末までに移管を完了しており、4月に新体制を始動している。
販売機能をNECPCに統合することで製造と販売が一気通貫になり、ユーザーに製品が届くまでの流れがシンプルになった。新体制後の滑り出しについて、檜山太郎社長は会見で「市場の成長よりも、われわれのほうが高い数字を出している」と手応えを語った。

NECPCでは個人向けのPC事業も手掛けており、今回の機能移管で46年の歴史があるNECブランドPCを名実ともに一手に担う立場となった。ブランドの継承にとどまらず、製造と販売の一体化による新たな価値の創造が求められる局面に突入したのである。
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