経理に特化したAIソリューションを展開するファーストアカウンティングは12月3日、弁護士ドットコムとパートナー契約を締結した。2027年4月から適用される新リース会計基準への対応を支援する共同ソリューションを提供していく。
新リース会計基準は、上場企業などが対象で、リースと判断される取引を資産計上する必要が生じる。対応に際して、膨大な契約書の中からリース取引の有無を確認し、契約書の内容を精査して新基準に該当するかどうか専門的な判定を行う必要があるため、煩雑な作業が発生することが予想されている。これに対し、弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」で全ての契約書をデジタル化し、ファーストアカウンティングの経理AIエージェントがリース取引に該当するかを自動判断することで、一連のプロセスに一気通貫に対応できるソリューションを提供する。特に専門性と工数がかかるリース判定の自動化と会計データへの変換により、経理担当者の負担を大幅に削減できるとした。
森 啓太郎 社長
ファーストアカウンティングの森啓太郎社長は、「リースを使っていない上場企業はほぼなく、新リース会計基準への対応が、企業の財務指標に甚大な影響を及ぼす可能性がある」と指摘。新リース会計基準が適用されると、これまで貸借対照表に計上されていなかった多くのリース契約が、使用権資産とリース負債として計上され、ROA(総資産利益率)、ROIC(投下資本利益率)、自己資本比率といった数値の悪化につながる可能性があるという。
また、同社の調査では新リース会計基準への対応は54%の企業がまだ未対応で、今後の影響拡大が懸念されるとした。森社長は「共同ソリューションによって、バランスシートの最適化を支援できる」と説明し、今後、他の契約書管理システムやERPベンダーとも連携を進め、新リース会計基準対応のエコシステムを構築していく考えを示した。
(堀 茜)