米UiPath(ユーアイパス)日本法人は12月10日、記者説明会を開き、NTTデータ・ウィズと協業に向けた基本合意を締結したと発表した。AIエージェントとRPA、人間が連携するワークフローを構築する「エージェンティックオートメーション」をNTTデータ・ウィズのBPO環境に導入し、生産性の向上を図る。将来的には創出した活用事例をソリューションとして外販する計画だ。
(大畑直悠)
両社は、協業を三段階のステップで進める。まずはNTTデータ・ウィズのBPO業務を高度化するユースケースの策定を図るとともに、AIエージェントを活用できる人材を育成する。次に業界や業種に特化した事例づくりと、これまで個別の顧客ごとに合わせていた業務の標準化を図る。最後にここまでで得た活用例を商材化し、市場に投入する。
NTTデータ・ウィズ
林 麻由美 取締役
NTTデータ・ウィズの林麻由美・取締役デジタルストラテジー事業本部本部長は「これまで顧客からはAs-is(現状のまま)の作業を請け負い、自社のノウハウで効率化してきたが、エージェンティックオートメーションで、これをより付加価値の高いものに変えたい。顧客の最適な業務設計を支援し高度化できるようになるだろう」と期待を寄せた。
同日には、ユーアイパス日本法人がリージョンとして昇格したことも発表した。これにより米国、インターナショナルに次ぐポジションとなり、今後は本社経営層と直接連携を取りながら、最新製品の国内市場での展開やローカライズを進める。
米UiPath
ダニエル・ディネス 会長兼 最高経営責任者
米本社のダニエル・ディネス・会長兼最高経営責任者は「国内企業はエージェンティックオートメーションの導入でもRPAでの成功の際と同様に世界をけん引する存在となるだろう。当社は全社でこれを支え、必要な全てを提供する。品質などの要求が非常に高度な日本で上手くいくのなら、世界で上手くいかないはずがないからだ」と話し、国内企業による事例創出に期待を示した。
米UiPath日本法人
長谷川康一 会長CEO
エージェンティックオートメーションの国内でのビジネス状況も説明した。日本法人の長谷川康一・会長CEOは「特にこれまでRPAの導入に素地がある企業での取り組みが先行している」と説明し、RPAでは対応できなかった非定型業務にAIエージェントを適用し、より長いワークフローの自動化が可能になっているとした。これに伴い、「これまで現場レベルで進んでいたRPAの導入から視座を引き上げ、部門をまたいだ自動化を実現するために、顧客の業務に精通したSIerのようなパートナーの存在が重要になっている」(長谷川会長CEO)との認識を示した。
このほか、業種・業界ごとに特化した事前構築済みのエージェンティックオートメーションを提供する「UiPath Solutions」も発表。特に金融や製造、小売り、ヘルスケアといった業界でのソリューションの開発を進めているとした。