【1980年代のIT】使いこなしの“臨床学”

外注ソフトに問題(第1回)

1981/10/15 16:04

週刊BCN 1981年10月15日vol.1掲載

テストランで設計し直し

 多くの企業がパーソナル・コンピュータやオフィス・コンピュータの導入によって、事務の効率化を進めてきている。パソコン、オフコンの導入ユーザーは、小規模では年商数千万円、大規模になると数千億円までとさまぎまである。導入機種、業種、業態によっても利用の仕方はさまぎまで、本稿では首都圏のパソコン、オフコンのユーザー15社を対象に、機種険討から導入、稼動状況、今後の機械化計画を考えてみた。

 なぜ機械化するのか。それが機種導入の前提である。処理量が増えて手作業が限界にきた、社員がやめた、もっと計数管理をしたいなど、いくつか理由がある。これはほとんどの企業が抱えている問題で、企業は常に機械化を考えている組織体なのである。だが一風踏み込んで具体的な機械化の検討に入るには、どの企業も何らかのキッカケを必要としている。

「コンピュータの新製品広告を新聞で見て」(年商2億円の洋品店)、「パソコン1台でどれだけの処理ができるか調べるため」(同1000億円を超す飲料メーカー)「取引先からのすすめで」 (同100億円以上の機械部品メーカー)、[社長命令で」(同150億円以上の婦人服商社)、「訪れてきたセールスマンが気に入ったから」(同1億円を超す眼鏡店)などである。

 このうち、新聞で製品を知って代理店もしくはメーカーに問い合わせをして検討開始、というケースが一番多く、15社のうち6社ある。次が「取引先からのすすめ」で4位、以下はそれぞれに事情は違う。こうしてみると、オフコン、パソコンの代理店にとっては、見込客の持つ取引先を攻めるのもひとつの方法である。

さて、そうした契機を得て、ユーザーは機種検討に入るが、平均的には当初5、6機種を選び、3ヵ月から6ヵ月程度の検討期間を経て、導入機種を決定する。機種が決定される前後の段階でシステム設計、その後プログラミングと進み、テストラン、本稼動となる。この機種決定から稼動にいたる過程について、導入担当者の次の苦言を紹介してこの項の終わりとしたい。

 「営業-SE-プログラマーと進むにつれて、当初営業マンが可能だと言っていた処理の幅が狭くなる。結局、テストランの段階でファイルが大幅に不足し、SEと最初から設計しなおすことになった。また、SEやプログラマーが出向の関係で途中で変更したりもした。その場合の連絡もうまくいってないようだった。この点は改善した方がいいのではないだろうか」
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