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<WORLD TREND WATCH>第86回 米国IT投資動向

2001/12/24 16:41

 長引くIT不況とこれに追い討ちをかけることになった同時多発テロ発生によって、米国有力ITメーカーのインテル、ゲートウェイや、コンパック、サン、HPは間近四半期決算に直撃弾を受けた姿となった。

増と減に分かれる



 前年同期比売上高減少率は、ゲートウェイ44.7%、サンが43.3%、コンパック33.4%、インテル25.0%、HP18.7%という惨状で、マイクロソフトも増加率が6.2%にとどまり、不況に強いIBMすらも6.2%の減少となった。このような状況から脱出するため、米ITメーカーは01年、02年の米企業のIT投資意欲がどう変化するかに大きな関心をもっている。しかし、この米企業のIT投資動向について、前年比で若干増えるとする予測と、大きく落ち込むという見込みが混在しており、メーカーは何に頼るべきかに腐心している。

 ガートナーと証券会社サウンドビュー・テクノロジー両社は共同でCIO面接調査を実施、米企業のIT投資額は「00年は前年比7.0%増であったが、01年は2.5%増にとどまり、02年はさらに低調となって1.5%増になる」との動向を発表した。両社の01年頭の同様の調査の結果は「01年は前年比8.0%増」という明るいものであったが、テロが大きく影響して、これが2.5%増まで下がってしまった。

 一方、投資調査会社チャーナースは01年米企業のIT投資は前年比で企業規模を問わず軒並み2ケタ減になったと発表し、ITメーカートップの顔面は蒼白になったと同社のローバート・ブルー会長は語る。「大企業は18.1%減、中堅企業は13.0%減、小企業は16.7%減」。これがチャーナースの発表だ。

 わが国ITメーカーの01年9月期中間決算売上高も1ケタの落ち込みとなっている。これは世界的半導体不況によるもので、各メーカーIT部門の売上高は若干の減少か1ケタのプラスであるが、各電子デバイス部門の落ち込みが20%、30%以上でこれが売上減少の主要要因だと分析できる。

 国内IT市場もパソコンはサチュレーションで落ち込むが、サーバー、とくにUNIXサーバーは前年比で50%以上も伸びており、国内IT市場は米国市場とは異なり健調に推移している。01年、02年の米国市場はいすれにしても大きく伸びることはない。

 こうなると、メーカーは他社シェアを浸食するしか、自社売上高を伸ばす方法はない。デルはパソコン、インテルサーバーでコンパック、HP、IBMシェアを侵して、1社だけ出荷台数を伸ばしている。

 IBMはUNIXサーバーでHP、サン市場を浸食すると同時に、インテルサーバーでも出荷台数を伸ばすために、GM、フォードを見習って、インテルサーバーの買い取り24か月の分割払い金利をゼロにするという方策を11月から実施した。これは手元流動資金が豊富なIBMであるからこそ可能な策だ。

 売上不振で資金繰りが悪化している競合メーカーは、IBM方式を簡単には採用できず、焦りを強めている。
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