大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第16話 一人一人の改革

2002/01/14 16:18

週刊BCN 2002年01月14日vol.924掲載

大阪電機通信大学 副理事長 水野博之

 年は明けたが、景気はいよいよ悪くなっていく。悪くなっていくどころか底が抜ける心配すらある。

 改革は確かに必要である。改革に痛みをともなうこともよくわかる。しかし、問題は改革の行方が見えないことだ。このまま景気の底が抜けてしまうのではないか、という恐れが日に日に強まっている。破壊すればそこから何か生まれるだろうといった安易な考えは政府の取るべき立場ではない。

 改革だ、改革だ、とわめいている連中も自分が変わることはいささか及び腰で、他人に変わることだけを要求しているという全く矛盾した論理のなかで物事がグルグル回っていて、結果として何も「新しいもの」が生まれていないのが、日本沈没の原因なのである。

 「新しいもの」とは何か。それは文字通り、新しい人たちによる新しい政治、新しい産業の創造である。それには何度も触れたように「新しき結合」をつくりあげることだ。

 では、「新しき結合」はなぜ進まないのか。社会の仕組みが日本では縦割りであって、そこにはそれぞれのボスがいて親分、子分でつながっているから、それを離れることは大変なことだからだ。

 しかし、アメリカでのベンチャー・キャピタリストとして数多くの「新しき結合」をプロデュースしたゴートン・ベイティは言っている。

 「日本人はその能力がないとは到底思えない。米国から見ると、あの元気だった日本はどうなったのか、と不思議にすら思える!!」皆さん、自信をもとうじゃないの。他人のことをあれこれ言う前に、自分自身がどう変わりうるか考えてみようじゃないの。

 今年はまさに一人一人の日本人にそのことが問われる年になるに違いない。日本を支えるのは政府でも政党でも評論家でもない。我々、一人一人なのだから。(宝塚・清荒神 鉄斎美術館にて)
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