どうなる? PCリサイクル

<どうなる? PCリサイクル>18.収集運搬

2002/03/11 16:18

パソコンの7割はゴミに

 収集運搬事業者から見て、家庭用パソコンのリサイクルはどう映るのか。

 収集運搬業とは、企業や家庭が排出する廃棄物を有料で引き取り、処理施設に運ぶ仕事である。

 家電リサイクル4品目の指定取引場所でもある産業廃棄物処理センターの斉藤良一取締役は、家庭用パソコンの収集運搬について、「家電リサイクルと同様、小型の平ボディ車を動員し、地域を限定すれば、収集効率を高めることができる。都市全体を網羅する宅配便事業者が本腰を入れてくると太刀打ちできないが、北区なら北区の区内で限定すれば、ある程度効率良く回収できる」と話す。

 「大型の家電は2人1組みで回収に当たる必要があるが、家庭用パソコンは小さいため1人で回収できる。この点ではコスト軽減ができる。だが、家電はまとまった排出量が期待できるものの、家庭用パソコンは、どこまでまとまった数量になるのかは不透明」と話す。

 同センターのグループ会社である白井運輸は、東京都北区を中心に約60台の一般廃棄物用の車両、約20台の産廃用車両を保有している。家庭から出る生ゴミなどを後部の圧縮装置で圧縮しながら回収するパッカー車や、後部に昇降機をつけた平ボディ車。ほかにも、荷台が斜めになり土砂などを滑り落とすダンプ車などがある。中古利用を想定する廃棄物は、平ボディ車で壊さないよう丁寧に運ぶ。

 しかし、平ボディ車で丁寧に運んでも、家電のように「リサイクル券=マニュフェスト伝票」で処理してしまうと、中古販売や部品販売ができず、結局、粉砕工場に運ぶことになる。同センターに集まる家電のうち、中古販売できる品質にあるにもかかわらず、マニュフェスト(廃棄物管理票)制度で廃棄が義務づけられていることから、中古販売や部品販売ができないものが多い。

 収集運搬業では、机や椅子、ロッカーなどの粗大ゴミや工場が排出する廃油、金型などの抜き型、加工過程での削りカス、飲食店が出す発泡スチロールやビニール類などを主に集める。売れない素材は、費用を支払って処理工場に引き渡すが、鉄類など売れる素材が多ければ、その分収益になる。

 「以前はパソコンなどが出れば外国人らしい業者が買い取ってくれたりしたが、今は見向きもしない。パソコンを集めても7割はゴミにしかならず、少額でも売れるものは3割程度」と話す。

 「使える家電でも、一旦『ゴミ』となれば、処理施設にお金を支払って引き取ってもらわなければならず、収集運搬の費用から、処理料金を差し引いた差額しか残らない。中古販売や取り出した素材を販売できれば、その分の収益が増える。仮に家庭用パソコンも家電と同じ構図ならば、ビジネス的な魅力は薄い」と慎重だ。

 家電よりも数や重さがないパソコンも、「ゴミ」として運ぶのであれば、平ボディ車を動員し、収集運搬だけで採算が合うのかは「微妙なところ」だと話す。(安藤章司)
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