進化するJ2EE その真髄とは

<進化するJ2EE その真髄とは>2.Javaの普及とJ2EE

2003/04/14 16:18

週刊BCN 2003年04月14日vol.986掲載

 Javaは、当初の期待とは裏腹に実行速度が遅いことと見栄えの悪さから、思ったより普及しなかった(最近は、CPUなどの高速化や新しい方式の登場で、再びJavaが見直されている)。(日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業部 WebSphere営業企画推進 テクノロジー・エバンジェリスト 米持 幸寿)

 ところで、Javaはサーバー・サイドですでに確固とした地位を築き上げている。それがJ2EEである。Javaは、ウェブアプリケーションを作るためのスタンダードとして、この5-6年であっという間に市場に受け入れられたのである。ところで「ウェブアプリケーション」とは何か。

 ウェブブラウザは、HTTPサーバーという「文書配信アプリケーション」をサーバーにしたクライアント・サーバー型アプリケーションだが、文書の閲覧しかできない。そこで、HTTPサーバーの利用者(主に、HTTPサーバーを運営する企業など)が、独自に「検索」、「注文」、「申請・承認」といった画面アプリケーションを作るための仕掛けを作った。このようなアプリケーションをウェブアプリケーションというわけだ。

 ウェブアプリケーションの特徴は、(1)企業で作られることが多い、(2)当然業務アプリケーションが多い、(3)利用者の数が不特定である――などが挙げられる。このようなアプリケーションに求められることはいったい何か。それは前回お話しした「計画的に開発し、長く使い続けること」である。そして、Javaは、「一度書けばどこでも動く(Write Once, Run Anywhere)」のおかげで、これを解決できることに多くの人が気づいた。

 Javaがサーバー・サイドで使われ始めたのは1996-97年ころであり、Javaサーブレットの登場からである。その前まではSSIとCGIの全盛期であり、多くの開発者がCGIベースのウェブアプリケーションを作っていた。しかし、そのニーズが増えるに従ってCGIでは実現できないことが起こってきた。それは能力(パフォーマンス)の問題である。

 CGIで抱えていた能力の問題(正確には、レスポンスが悪い点と同時処理能力を上げられないこと)をJavaが大幅に改善してくれた。さらに、Javaはプラットフォームを選ばないので、パソコン上で開発したアプリケーションをメインフレーム上で稼働させることも可能なのである(これを「スケーラビリティー」と言ったりする)。

 では、「遅い」、「見栄えが悪い」という問題はどこへ行ったのだろうか。サーバー・サイドで使う場合、サーバーの起動が20秒で済んでいたものが3分かかったり、メンテナンス画面がカッコ悪くなったりする。しかし、サーバーの起動は本格的な企業システムなら年に数回だし、メンテナンスは素人が行うわけではないので見栄えは少しくらい悪くても大丈夫だ。

 こうして、Javaはウェブアプリケーションを開発するための基盤としてスタンダードになった。そこに「企業システムで必要な機能」を盛り込んだ仕様がJ2EEだ。J2EEとは一体何なのかは、また次号で。
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