モデル事例にみる IT投資減税活用ガイド

<モデル事例にみる IT投資減税活用ガイド>第6回 周辺機器の「同時設置」問題

2003/05/19 16:18

週刊BCN 2003年05月19日vol.990掲載

 前回のCTI(コンピュータテレフォニーインテグレーション)システム事例を今回も引用し、プリンタやハブなどの周辺機器の減税適用について考える。(日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA) 税務委員会委員長 税理士 根岸邦彦(監修))

 減税対象となる投資資産は、財務省令に「限定列挙」されているので、条文に規定されている資産を取得した場合のみが、減税の手続きを行える。情報システムのハードウェアは、「電子計算機」が対象資産であり、プリンタやハブなどの周辺機器は、この「電子計算機」と(1)同時に設置し、かつ(2)附属の機器である場合、のみが減税の対象となる。

 では、例えばカラーレーザープリンタの在庫がなく、CTIシステムの設置と稼働開始時よりも、納期が数か月遅れてしまった場合は、「同時に設置する」と考えられるのかどうか。また、LANで接続するカラーレーザープリンタは、「附属の機器」と呼べるのであろうか。

 今回のIT投資減税に直接適用されるものではないが、以前、同様の減税を規定した租税特別措置法の通達45-3-3に、次の解釈が述べられている。

 「『本体装置と同時に設置する附属装置』には、一の計画に基づき、本体装置を設置してから相当期間内に設置するこれらの附属装置が含まれることになります。また『附属の機器』であるかどうかは、当該附属装置がその特定情報通信機器の対象機器全体の導入目的等に照らしてその機能を発揮するために、他の対象機器と同時に設置したものであるかどうかにより判定することとなります」

 今回の事例は全体として、「CTI」という1つの目的を果たすシステムとなっており、同措置法の「一の計画に基づくシステム(単一の案件)」といえる。

 また、売り手の都合で納期が数か月遅れることは「相当期間内」と判定して良い。従って、納期遅れのカラーレーザープリンタは「同時に設置した」と解釈できるのである。

 一方、LANで接続される周辺機器(ストレージ機器やネットワークプリンタなど)は本来、「別の1台」と考えられる。30万円未満の損金処理を認める「少額資産」の解釈としては、パソコンやサーバーとは別の資産となる。

 しかし、例えば宅配ピザ店でこのようなCTIシステムを構築したとして、ピザの配達人に顧客の地図をカラー印刷して持たせる場合、全体で1台しかないこのカラーレーザープリンタは、「特定情報通信機器の対象機器全体の導入目的等に照らして」、不可欠の部品といえる。

 このことから、この場合のカラーレーザープリンタは、「一の計画による導入目的に照らして」、附属の機器とすることができるのである。
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