Japan STOCK

東京市場回復傾向 大物企業登場に期待

2003/06/02 16:04

週刊BCN 2003年06月02日vol.992掲載

小型株人気続く

 東京市場が回復色を強めてきた。りそなグループの実質国有化は発表直後こそショック安に見舞われたものの、「大手銀行は破綻させない」という政府サイドの強い意思が読み取れたうえ、減資など既存株主の責任は問われない見通しとなり、市場には次第に安心感が広がった。初めての金融危機対応会議が開かれ、セーフティーネットが実際に機能したということで、今回の公的資金注入スキームには一定の評価を与える向きが多い。また、米国株上昇が追い風になり、運用資産における日本株のウエートを下げ過ぎた海外投資家の買いが継続していることもプラス要因(東証発表では5月第3週まで5週連続の買い越し)。もっとも、日経平均は上昇傾向とはいっても今年初めの水準(8578円)をまだ5%下回っている。

 株価上昇が目立つのは日経平均を構成している大型株ではなく小型株だ。TOPIX(東証株価指数)を発行済み株式数によって規模別に分けた指数を見ると、年初から5月23日まで大型株は3.4%下落なのに対して、中型株は10.2%上昇、小型株は19.6%上昇となっている。大型株不振・小型株人気の背景としては厚生年金の代行返上に伴い、年金が多く保有している大企業の株式に売り圧力がかかっていることが挙げられる。また、2000年春のITバブル相場時には機関投資家が株価指数を上回る運用成績を上げるために時価総額の大きな銘柄を競って組み入れたが、その反動が出ているとの見方もある。代行返上売りは少なくとも年度内は続くことから、割安にある小型株に投資する動きが一段と活発化しそうだ。

 外資系証券などは以前から中小型株のレポートを積極的に作成しているが、国内最大手の野村証券も5月20日から中小型注目銘柄リストの作成を始め、そこで取り上げられた銘柄が急騰して話題となった。

 小型株人気のなかで、ジャスダック市場も活況が続き、ヤフー、楽天、インデックスという主要銘柄は連日の高値更新。

 セイコーエプソンが6月20日に東証1部に上場することが決まった。同社の02年3月期の決算は連結最終損益が184億円の赤字。従来の上場審査基準では赤字企業の上場は不可能だったが、東証は昨年10月に、売上高が100億円以上で時価総額が1000億円以上を見込める場合は直前の決算期が赤字でも上場できるよう基準を緩和した。エプソンはその適用第1号。上場に先立って4000万株の公募増資(うち40%は海外で募集)を行い、約900億円を調達する予定。手取り資金はプリンタ関連、プロジェクター関連などの設備投資や、有機ELディスプレイなどの開発投資に充当する計画という。6月2日から13日までがブックビルディング(投資家の需要把握)期間で16日に公募価格が決定する。会社側では資金調達計画を立てた時点で株価は約2900円を想定している。(有賀勝久)
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