多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>8.日本ネットワークアソシエイツ

2003/09/29 20:43

週刊BCN 2003年09月29日vol.1008掲載

 日本ネットワークアソシエイツ(NAC)は、米本社がここ1年でセキュリティベンダー3社を相次ぎ買収したのを受け、企業向け製品のラインアップを積極強化した。また、コンシューマ向けビジネスの自社展開を10月から再開する方針も固めた。

企業買収を重ね、製品群に厚み

■ASPサービスが中小企業に人気

 企業向けビジネスは、従来、ウイルス対策とネットワーク管理製品の2ジャンルで展開していたが、企業買収によりスパム対策、不正侵入検知・防御製品を新たにラインアップに加えた。能地將博・マーケティング本部McAfeeマーケティング部エンタープライズプロダクトマーケティング部長代理は、「最近のウイルスの主流は複合型ウイルスで、基本的なウイルス対策製品や1つのテクノロジーだけでは対応できない時代に入ってきた」と、セキュリティビジネスの現況を語る。

 「日本市場では基本的なウイルス対策が、まだビジネスの中心だが、米国ではスパム対策や不正侵入検知・防御製品は急速に需要が伸びている。日本にも海外と同様の流れが必ずくる」と、いち早くラインアップを強化した理由を説明する。だが、現在の主軸ビジネスは、「まだまだ『マカフィー』が約7割を占めている」(能地部長代理)ことから、ウイルス対策製品シリーズ「マカフィー」の強化にも並行して取り組んでいる。特に、同シリーズの構成品目の中で、ゲートウェイ型製品とウイルス対策のASPサービスには「手応えを感じている」(同)という。

 能地部長代理によると、ゲートウェイ向け製品は「年率40%以上の成長をみせており、最近の流行製品」になっている。このため、スパム対策やファイアウォール機能を盛り込んだ総合セキュリティアプライアンス製品をバージョンアップし、他社からの乗り換えキャンペーンを実施するなど、ゲートウェイ向け製品の拡販施策に積極的だ。また、ASPサービスは、「ユーザーの約70%が25人以下の零細企業」(能地部長代理)で占めるなど、情報システムの専任者を確保しにくい中小企業から人気を集めており、同市場の需要開拓に成功している。一方、コンシューマ向けビジネスは、すでに松下電器産業やNEC製パソコンのバンドルも決定しているなど、「コンシューマ市場で約25%のシェアを取る」(田中辰夫・McAfee新規事業統括本部長)と意気込んでおり、企業向けビジネスとの相乗効果も期待している。(木村剛士)
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