立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>8.SCMを支えるマイルストーンプログラム I

2003/10/20 16:18

週刊BCN 2003年10月20日vol.1011掲載

サプライチェーンマネジメント(SCM)は、サプライチェーンの中で“物”と“情報”の流れを適切化し、なおかつ顧客ニーズを満足させることが重要である。SCMは、業界をも超えた企業群(サプライチェーン上に登場する各企業)が協力し合うことが必要である。さらに、SCM構築を安価に実現するためには、インターネット上でXMLをベースにした情報交換技術が不可欠である。

 ロゼッタネットは、新たなSCMモデルを実現したい人(ロゼッタネットに参画する企業や団体)の提案(ビジネス要件)をもとに、そのSCMモデルに合った標準化を優先的に進めている。この仕組みをマイルストーンプログラム(MP)と呼んでいる。また、このMPに提案されたSCMモデルは、参照モデルとしてロゼッタネットより提供される。

 MPの仕組みを簡単に述べると、MP参加企業の個々のビジネス要件を要求仕様書にまとめる。その要求仕様書をもとに、標準開発チームがドラフト版の標準規約を策定し、MP参加企業からのフィードバックを得て、評価版の標準規約を作る。MP参加の各企業は、この評価版の標準規約をもとに、自社のシステムに組み込みと実運用上で問題ないことを評価し、最終版となる標準仕様が完成する。MPを立ち上げるためには、「ロゼッタネット標準を使って同一目的のビジネス要件を所定の期限までに実現する」ことを確約する企業群が複数集まることが必要である。

 今までに日本国内では、2001年に国内有数のパソコンメーカー企業が集い、調達業務の迅速化・効率化を目指したOMJ(Order Management in Japan)と呼ぶMPを立ち上げた。このMPでは、02年までに約200社間で実用化実績を集め、その実用化の中で明らかとなったロゼッタネット標準の改善提案を行っている。また、01年には、ソニーを中心にした企業群が集まり、設計技術情報交換分野での業務モデルを提案するDEIP(デザイン・エンジニアリング・インフォメーション・プログラム)と呼ぶMPを立ち上げ、わずか10か月という短い期間で「PIP 2A10」と呼ぶ新標準開発も成功させている。このように、日本国内でも標準化に大きく貢献している。ロゼッタネットでは、この画期的なMPの仕組みを通して、標準利用者のニーズを満たす実用的な業務モデルを標準を的確に取り込んでおり、それゆえ、今もなおロゼッタネット標準利用者が増大している。(ロゼッタネットジャパン事務局 事務局次長 村田 行雄)

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