多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>13.トリップワイヤ・ジャパン

2003/11/03 20:43

週刊BCN 2003年11月03日vol.1013掲載

 米トリップワイヤ(オレゴン州)の日本法人であるトリップワイヤ・ジャパンは、「ニッチな分野に特化したビジネス。これといった競合ベンダーはいない」と北原真之・日本法人社長が話すように、セキュリティ分野の中でも特殊な分野に絞ったビジネスを展開している。製品は大きく分けて3つを揃えている。主軸製品「Tripwire for Servers(トリップワイヤ フォー サーバーズ)」は、サーバーにあるデータの改ざんや不正ソフトの侵入、ミスオペレーション、ソフト障害など、あらゆるサーバー上のデータ変更を検知し、データを正常な状態に戻すソフト。サーバーデータの復旧に特化したツールというわけだ。

ニッチな分野に特化

■“事後対策”に焦点絞る

 ウイルスなどの外部アタック対策や企業内の情報漏えい対策などの“事前対策”セキュリティ製品とは一線を画し、復旧という“事後対策”に焦点を絞っている。北原社長は、「100%のセキュリティ対策はあり得ない。現在はウイルス対策製品などがセキュリティビジネスの主流だが、事後対策にニーズが移行していく」と予測。自社製品の成長に自信を示す。

 「トリップワイヤ フォー サーバーズ」は、日本市場で官公庁や自治体を中心に約400団体に導入実績をもつ。売り上げは2000年の日本法人設立以来、毎年50%増で推移しており、徐々にビジネスを拡大させている。販売パートナーも、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)や日本ビジネスコンピューター(JBCC)など計7社まで増やし、販売体制も整いつつあるという。

 同社が拡販施策として新たに進めている取り組みは、他のセキュリティベンダーとの協業だ。「ニッチな製品だけに、当社製品だけで販売するよりも、セキュリティベンダーのソリューションと組み合わせた方がユーザーに受け入れやすい」(北原社長)というのがその理由。

 インターネットセキュリティシステムズ(ISS)やラックなどと提携し、不正侵入検知システム(IDS)などと組み合わせたソリューション開発を行っている。バックアップソフトベンダーとの提携も近く発表する予定で、さまざまな分野のセキュリティ製品と組み合わせた展開を進めていく。各セキュリティベンダーとの“協業戦略”で、拡販につなげていく方針だ。(木村剛士)
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