多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>17.エントラストジャパン

2003/12/01 20:43

週刊BCN 2003年12月01日vol.1017掲載

 内部情報漏えい対策関連のセキュリティソフトを開発販売しているエントラストジャパン。米エントラストの日本法人で、1998年12月に日本法人を設立し、国内でのビジネスを本格化させた。電子メールやファイルを暗号化し情報漏えいを防ぐソフトなど、PKI(公開鍵基盤)技術を利用した暗号化関連ソフトが主軸製品だ。

アクセス管理製品を新たな軸に

■製品ラインアップ、パートナー網も拡大

 現在ではワールドワイドの売り上げの約10%を日本法人が占めるまでに成長してきた。パートナー企業も日本法人スタート時には3社と少なかったが、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)やNTTデータといった大手企業とも契約し、24社にまで拡大してきた。その一方で、暗号化関連ソフトの売り上げは、「毎年約20%増で成長しているものの、新規参入ベンダーによる熾烈な価格競争で利益率が低下している」(広瀬努・マーケティング部長)と、過当競争の様相を呈してきているという。

 そんななか、同社の新たな主軸製品としてクライアント端末のアクセス権限管理ソフト「GetAccess(ゲットアクセス)」の売り上げが順調に拡大している。同ソフトは、ウェブシステムごとに備わる認証システムを1つに統合し、1度のログインで複数のウェブアプリケーションへのアクセスを可能にする。ユーザーはアプリケーションごとにIDやパスワードを持つ必要がない。「ゲットアクセス」は、既に160社に導入した実績を持ち、導入企業数ではPKI関連製品を上回る。現在の売り上げも、「PKI関連製品の売り上げと肩を並べるまでに成長している」(広瀬部長)という。

 同社では、「ゲットアクセス」が好調なことから、さらに拡販に弾みをつけるため、パートナー企業を現在の7社から10社に拡大し、製品ラインアップを強化した。これまでは顧客の中心が大企業だったため、利用ライセンスの最低数を1000ユーザー以上に設定していた。さらに広いユーザー層を取り込むために250ユーザー以上、500ユーザー以上でのライセンスも設定した。機能をシンプルにし価格も抑えた中規模モデルを加えたことで、「最近引き合いが多くなってきた」(広瀬部長)と、中小企業のニーズに手応えを感じている。(木村剛士)
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