立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>21.OMJ活動 I ―概要

2004/01/26 16:18

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

 OMJ(Order Management in Japan)WGは、大手セットメーカーを中心に半導体・電子部品の調達・販売プロセスへのロゼッタネット(RN)標準の適用の推進を目的とするロゼッタネットジャパン(RNJ)のワーキンググループであり、インテル、NEC、沖電気工業、ソニー、東芝、日立製作所、富士通、ルネサステクノロジ、NTTコミュニケーションズの9社が参加している。

 OMJ活動は、同時にRosettaNet.org、各国・地域のロゼッタネット組織およびその会員企業が協同してグローバルにRN標準の実装を推進するマイルストーンプログラムの1つでもある。OMJ参加企業による導入実績は、2002年度末で、導入取引先数176社(2年間累計218社)、PIPの接続数791(同987)に達するなど、その成果は世界的に高く評価されており、各国・地域組織で進めている実装計画に弾みをつける契機にもなっている。本連載の場をお借りして、3回に渡りOMJ活動の全体像を紹介したい。

●OMJ活動の歴史

 00年4月にロゼッタネットジャパンが創立された後、米国RosettaNet.orgの活動に習ってボード会員企業が中心となって「eConcert-J」と呼ばれるトライアルを開始した。

(1)2000-e-Concert-J:RNJボード会員を中心としたPIP実装トライアル
・00年10月10日までに少なくとも1つのPIPを実装、その実用性を評価
・IT(情報機器)、EC(電子部品)の両分野において、延べ22社が参加
・電子カタログ情報交換や受発注プロセスが中心
 トライアルの結果、RN標準が日本企業のビジネスプロセスへ十分適用できることは確認されたものの、次のような問題点も指摘された。
・取引先(主として電子部品メーカー)において、RN標準の認知度が低く普及の可能性についても懐疑的
・RN標準に対する変更要求を各社個別の行うのは、標準化作業という観点からは非効率
・RN標準の実装におけるノウハウの蓄積が少なく、1社だけでは解決に時間がかかる

 OMJ WGはこうした問題を解決するために発足したもので、参加企業は、それぞれ独自の計画に基づいてRN標準の導入を進めるが、その過程で生じたノウハウ・問題点を共有し、その解決やRosettaNet.orgに対する標準の改定を協同で行うこと、日本における主要なパソコンメーカーがRN標準の実装を積極的に進めることをアピールすることで、RN標準の普及に対する懸念を払拭することを狙っている。

 01年度は、対象ビジネスをパソコン用部品の販売調達プロセス、対象PIPを受発注関連に限定していたが、RN標準導入の拡大を促すために、02年度に対象ビジネス、対象PIPを拡大した。さらに、03年にはこれまでの実装経験をもとに、日本企業のニーズに合わせたRN標準の改定提案や実装ガイドラインの策定、RN標準導入効果調査など、普及啓蒙に向けた活動も積極的に行っている。

(2)2001-Milestone Program:Order Management in Japan
・パソコン用の部品の調達・販売プロセスを対象
・対象PIP:受発注関連(PIP3A4/7/8/9)

(3)2002-Milestone Program:Order Management in Japan-Extended
・導入企業数の大幅な拡大
・ビジネス領域の拡大:パソコン用から携帯電話、デジタルカメラ、周辺機器の組み立てに必要な電子部品の調達・販売プロセスへ
・対象PIPの拡大: PIP3A系に加えて、4A系や4C系、3D系を実装対象に
・個々の企業の実態に即した最適なビジネスシナリオの確立
・各企業を対象としたRN標準導入効果(ROI)調査(ケーススタディ)の実施

(4)2003-Milestone Program:Order Management in Japan-Advanced
・導入企業数のさらなる拡大
・ケーススタディをベースにしたROI算出ツールの開発
・OMJ参加企業およびその取引先の実態を踏まえたPIPの検証、導入ガイドラインの作成およびRosettaNet.orgへのPIP修正要求の取りまとめ

(NTTコミュニケーションズ ロゼッタネットジャパンOMJ WG主査 伊坂 広明)

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