大遊泳時代

<大遊泳時代>第8回 1人ひとりの防犯

2004/02/23 16:18

週刊BCN 2004年02月23日vol.1028掲載

松下電器産業 役員

 最近の社会面は「殺」の文字が多くていやになる。'03/上の警察庁まとめでも、侵入強盗の認知は前年比35%up。検挙は11%upでなさけない。水と安全をただと思ってきたことのツケがどっと来たようである。噂半分だが、大阪市と守口市の境界で、昔の「野崎参りの街道」が、今「ひったくり街道」といわれている。境界だから犯人もどっちにも逃げ易く、警察も越境できないらしいが、なんと小学生が自転車でおばあちゃんを! 中学生がバイクでおじんを! 高校生となると歩きながら中年をまわしゲリ! 大学生は小娘を? これが天下の大阪かとなさけない。

 ところでX'masには、各家庭の屋外飾り付けが神戸のルミナリエほどではないにしても、美しく、家路を急ぐ人々をホッとさせてくれるし、防犯上も実によいと思った。単身赴任の家庭では最近かなりセキュリティ投資をし、防犯は充実したとのこと。警備会社への加入、キンコ強盗用の金庫、テレビインターホン、窓は防犯二重ガラスに。鍵はもちろん複数のシリンダー、庭の通路は音の出る砂利、人影感知の照明、あげくは電気屋さんが、このIPカメラ、つながなくていいですから、ベランダに2-3個つけると効果ありますよとのこと。いくらなんでも泥棒に失礼ではないかと思った。

 そんな時、年末「火の用心」の夜まわり当番があたり、解ったことは「隣組がまず顔見知りとなる」、「危ない夜道はどこか」、「防犯灯と防犯カメラはどこに必要か」等々で、何よりも各戸が門灯をしっかりつけることが第1歩とわかった。そしてチームで街を自衛する風土づくりが第2歩。その上でのセキュリティ、IT設備ではないかと思った。早速、ワトソン君に解ったように提案すると「それはNYのジュリアーニ市長時代の、市民1人ひとりの立ち上がりと同じですよ」、「大阪はどうもお上への他責論が多すぎる」と説教されてしまった。
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