変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>10.ラック

2004/03/08 20:43

週刊BCN 2004年03月08日vol.1030掲載

 情報システムのインテグレーションとセキュリティの2つのビジネスを手がけるラック。現在はそれぞれの事業が売り上げを2分する形だが、セキュリティビジネスは3年前の約35%の構成比率から、ここ数年で急成長を見せている。セキュリティ事業のスタートは1995年。自社開発製品や他社製品の販売、システムインテグレーションからセキュリティシステムの運用、監視サービスまで提供するなどビジネス範囲は広い。自社開発製品は、脆弱性情報データベースやセキュリティポリシーの運用支援ツールなど、3製品を用意する。

既存顧客への拡販に営業を集中

 なかでも、サービス事業は成長分野で、24時間365日体制で運営する監視センター「JSOC」を中心に、攻撃を受けた時のファイアウォールの設定変更や、ファイアウォール、IDS(侵入検知システム)の運用管理作業の代行などのアウトソーシングサービス、コンサルティングサービスなどが堅調に推移する。三輪信雄社長は、「サービスビジネスが当社の基本事業であり、製品販売やインテグレーション事業は2の次」と断言、自社のサービス事業に自信を見せる。だが、昨年度(03年12月期)は、自社開発の新製品の販売が低迷するなど製品販売事業が不調で、減収減益を強いられた。今年度は巻き返しを図るため、まず営業スタイルの見直しに着手した。

 昨年度は新規顧客の開拓に主眼を置き、商材も自社で固定化したメニューに沿って売ることに集中していた。そのため、ターゲット層も「大企業から中堅・中小企業まで何でも取り込もうとしていた」(三輪社長)。三輪社長は、「固定したサービスメニューだと、営業が簡単に分かりやすく売ることができる」としているものの、「新規の場合、大口案件にすぐに結びつくことはまれであり、1つの案件の利益率が低い」という。そのため、営業の効率化と1案件の単価を上げることを今年度の重点施策の1つに挙げている。

 今年度は、これまで実績のある既存顧客に営業のリソースを集中したビジネススタイルを徹底する。商材も固定化したメニューで売るのではなく、「顧客の要望に合わせて、カスタマイズしたサービスの提供を徹底する」(三輪社長)。顧客のターゲットも、既存顧客の中から、大企業に絞る。インテグレーションからサービスまで手がけられる多様なビジネスモデルと豊富な製品ラインアップ、そして実績を上げてきたサービスビジネスの核となる「JSOC」を強みに、既存顧客へのさらなる拡販に集中した営業展開で業績回復を図る。(木村剛士)
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