“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>55.ベルズシステム

2004/05/31 16:18

週刊BCN 2004年05月31日vol.1041掲載

 ベルズシステム(小野寺隆社長)は、携帯電話やチャットなど、リアルタイムで情報伝達できる分野の業務アプリケーションの開発で実績を増やしている。同社は2001年4月に起業した福岡市に本社を構えるベンチャー企業。企業の基幹系システムを構築する大手システムインテグレータは数多くあるものの、携帯電話を使ったリアルタイムアプリケーションの構築技術を持つシステムインテグレータは「それほど多くない」(小野寺社長)と自負する。

リアルタイムアプリで事業拡大へ

 携帯電話を使った情報システムの構築は創業当初からの事業の柱で、なかでも大学や専門学校など教育機関向けの実績は多い。携帯電話のウェブ閲覧やメール機能を使い、在学生向けに休講案内や各種通知などを配信したり、受験生向けの情報などを発信するシステム「キャンパスベルズ」は、すでに30校程度で実用化されている。

 「キャンパスベルズ」はパッケージソフト化し、販売パートナーを通じた販売も行っている。「企業向けのシステム構築は、原則として開発人数の数で売上高がほぼ決まる傾向が強い。だが、個別のシステム開発で得たノウハウをパッケージソフト化すれば、ビジネスパートナー経由で事業拡大することができる」と、パッケージ化やパートナービジネスについても積極的に進める。

 携帯電話関連では、2次元バーコードを携帯電話内蔵のカメラで読み取り、携帯電話向けウェブサイトへリンクさせるサービス「ケータイダイレクト」など、新しいサービスの開発に取り組んでいる。また、企業のウェブにチャット機能を取り入れ、顧客とのコミュニケーションツールの1つとして活用する「ネットチャイム」も開発した。

 いずれもリアルタイム性を重視したアプリケーションだ。今後、こうしたリアルタイムアプリケーションの得意なシステムインテグレータとして事業拡大を目指す。

 携帯電話やチャットなどは、参入障壁が低い分野に見える。しかし実際は、「この分野に実績があるシステムインテグレータでなければ事業拡大は難しい」(小野寺社長)と、技術的優位性を強調する。携帯電話やチャットなどウェブ系のシステムについては、運用面やマーケティング、顧客満足度向上に結びつける手法など独自のノウハウを持つ。

 今後も、携帯電話やウェブを使った情報発信が一般的になっていく中で、関連ノウハウやパッケージ製品に対する「需要がますます高まる」と予測している。(安藤章司)
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