“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>67.コア

2004/08/30 20:43

週刊BCN 2004年08月30日vol.1053掲載

 独立系システムインテグレータのコア(井手祥司社長)は、組み込みソフトウェアを中心とした情報通信ソリューションサービス事業を、売上高に対する構成比で今後2-3年の間に60%へ高める。昨年度(2004年3月期)の連結売上高に占める情報通信ソリューションサービスの構成比は56.8%を占めている。

組み込みソリューション拡大に注力

 ERP(統合基幹業務システム)などエンタープライズ系のシステム構築市場に加え、組み込みシステム市場の伸びが期待されていることから、コアでは組み込みシステムの構築を柱とした情報通信ソリューションサービス事業の拡大に力を入れている。

 もともと、組み込みシステムの構築実績が豊富なコアは、「これまでの強みをさらに伸ばす」(コアの詰素之・取締役専務執行役員システムウェア事業カンパニー社長)と、市場拡大を追い風に事業拡大の意欲を示す。

 経済産業省の「2004年版、組み込みソフトウェア産業実態調査報告書」によれば、組み込みソフトウェアの国内市場規模は2兆円、開発に従事する技術者数は15万人と推定されている。携帯電話やカーナビゲーションシステムなどの大口案件に加え、デジタルカメラやDVD関連、薄型テレビなど各種デジタル製品のシステム構築の大規模化が急速に進んでいることから、今後とも引き続き堅調な市場の拡大が見込まれている。

 現在、コアの組み込み系の技術者数はグループ内に約700人、協力会社など開発パートナーで約700人の約1400人体勢で組み込みシステムの開発に当たっている。目下の課題は、生産性の向上だ。機器の多機能化のために、開発工数は拡大の一途をたどっている。

 たとえば、2年前の携帯電話向けの組み込みソフトウェアは、1人の技術者を1か月間開発に従事させる開発工数単位の「人月」で約2000人月だったのに対し、最新型の携帯電話の開発工数は3500-4000人月に達するという。

 コアでは、経産省などが中心となって今年度(05年3月期)末までをめどに策定を進めている組み込み系技術者のスキルの標準化を目的とした「組込みソフトウェア開発スキル標準」を、来年4月以降、順次社内に導入する方向で準備を進めている。スキル標準をフレームワークとした標準化を進めることで、「効率的な人材育成が可能となり、生産性が5-10%程度向上する」(同)と、生産性の向上に期待を高める。(安藤章司)
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