変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>35.ソフトクリエイト

2004/09/13 20:43

週刊BCN 2004年09月13日vol.1055掲載

 社員数50-150人規模の中堅・中小企業のシステム構築に強いソフトクリエイトが、セキュリティニーズの高まりから本格的にセキュリティビジネスを強化したのは今年の春。それまでは、「あくまでネットワーク構築の一部としか見ていなかった」(林宗治・常務取締役)と、むしろ“傍観”している状況にあった。

条件は“システム管理経験者”

 個人情報漏えい事件や個人情報保護法の本格施行を見据え、大手企業が中心だったセキュリティ投資も、昨今の社会環境から中堅・中小企業レベルに派生し、ソフトクリエイトのセキュリティビジネスにも追い風が吹いている。

 ただ、システム管理者がいなく、投資対効果の見えにくいセキュリティにコストをかけられない中小企業をメイン顧客としているだけに、「漠然と、金をかけずにセキュリティを高めたい」(林常務取締役)という要望ばかりという。

 製品・サービスの説明に力を入れても顧客の理解を得るには時間がかかり、高価なセキュリティ製品・サービスの納入も難しい。そのために強化しているのがコンサルティングサービス。つまり、セキュリティ専任コンサルタントの増強である。

 セキュリティビジネスにおいてコンサルティング強化はトレンドであり、コンサルタントを増やすシステムインテグレータやメーカーも少なくない。コンサルティング会社との協業や、コンサルタントをヘッドハンティングするなど、コンサルティング業務を担当してきた人員を確保するのが一般的なのに対し、ソフトクリエイトが求めるセキュリティ専任コンサルタントの条件は、「システム管理者出身であること」(長尾聡行・ネットワークソリューション部課長代理)だ。

 システム管理者出身で、セキュリティコンサルティングサービスを統括する長尾課長代理は、その理由を「セキュリティで最も重要になるのは運用。一般的なコンサルティングとは求められるスキルが違う」と説明する。「システム管理者の身になって、現状分析、製品・サービスの導入、運用を理解していなければならない。具体的なセキュリティ対策を提案できるコンサルタントが、特に規模の小さな企業からの受注を増やすためには必要。情報システム担当者だった経験は、セキュリティコンサルタントに必須」というわけだ。

 システム管理者出身のコンサルタントを顧客との接点にすることで、中小企業にありがちな“総務部兼システム担当者”の課題と悩みをいち早く理解することを徹底。製品・サービスになるべく費用をかけない提案を重視する。無料の「アクティブディレクトリ」を利用し、簡易的なIT資産管理を行うためのコンサルティングサービスの引き合いが多いのは、その成果の1つだ。(木村剛士)
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