“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>74.ビジネスバンクコンサルティング

2004/10/18 20:43

週刊BCN 2004年10月18日vol.1060掲載

 ERP(統合基幹業務システム)を中心としたシステム構築を手がけるビジネスバンクコンサルティング(大島一成社長)は、ベンチャー企業などを育成するインキュベーションやM&A(企業の合併・買収)、事業再生など経営戦略に深く踏み込んだコンサルティング事業に力を入れる。経営コンサルティングを通じて、本業であるERP案件の受注などの商談を有利に進めるのが狙いだ。

経営コンサル強化でERP受注へ

 インキュベーションなどのビジネスを加速させるため、今年7月、経営コンサルティングを中心に手がける子会社B.B.インキュベーションを設立。今後はB.B.インキュベーションが主体となり、ベンチャーへの出資を含めたインキュベーション事業を展開する。また、今年8月には総額7億円の社債を発行しており、調達した資金は将来有望な企業へ出資するなど、インキュベーション関連事業にも割り当てる予定。

 成長性が見込める企業に対して、早い段階から経営コンサルティングサービスを提供し、一定規模まで成長した段階でERPの納入商談を進める。ERPを効果的に運用することで業務効率を向上させ「顧客企業の競争力を高めてさらに成長させる」(大島社長)と、経営戦略の立案からERPの効果的な運用まで一貫したビジネス戦略を立てる。

 ビジネスバンクコンサルティングがこれまで主に扱ってきたピープルソフトやSAPなど主要ERP製品の商談は大規模になる傾向が強く、社員数約80人の中堅規模の同社では、顧客企業から直接的に受注することが難しかった。大手システムインテグレータ経由の「間接的な受注になるケースが多い」(高橋知義・ソリューション事業部セールスマネージャー)ために、同社の特性や強みを生かしにくかったわけだ。

 今後は、インキュベーションやM&A、事業再生など企業戦略に深く関わっていくことで、ERP納入に至るまでの継続的な受注を目指す。同社は会計士や税理士が主要メンバーに就いており、情報システムの構築だけでなく、経営に深く踏み込んだコンサルティングを展開できるノウハウを持っている。

 今年度(2004年12月期)の売上高は18億円を見込むが、現段階ではERP関連の売上高が大半を占める見通し。今後は、インキュベーション関連などの新規の収益増が見込めるのに加え、本格化させる経営コンサルティングを通じてERPの受注件数の増加も期待できる。(安藤章司)
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