IT Stock Frontline

IPOの人気回復

2004/11/29 16:04

週刊BCN 2004年11月29日vol.1066掲載

大型上場が集中

エルピーダメモリ、好スタート

 IPO(株式新規公開)は11月初めにかけて初値の公募価格割れが出たが、その後は人気を盛り返してきた。

 11月はNTT都市開発(4日)、エルピーダメモリ(15日)、国際石油開発(17日)という市場からの資金吸収額がそれぞれ1000億円を超える大型上場が集中。これらの公募株への払い込み資金を調達するために保有株を売却したり、ほかの新規公開株への投資を見送るなどの動きが個人投資家に広がった。ただ、そうした動きは大型3銘柄の公募資金払い込み終了で一巡した。

 大型3銘柄のなかではNTT都市開発の初値が公募価格割れとなったものの、エルピーダメモリの好スタートが株式市場全体を明るくした。

 エルピーダメモリは国内唯一のDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリ)メーカー。分社化されたNECと日立製作所の半導体部門が「NEC日立メモリ」としてスタート、03年には三菱電機からDRAM事業と人員を譲り受けている。市場別ではワークステーション・サーバー向けとデジタル家電・モバイル機器向けの高付加価値製品に力を入れている。DRAMでは現在世界第5位だが、今回の公募増資で調達した資金などを使って広島工場に新棟を建設、05年後半の操業を計画。世界シェアで上位3社入りを狙う。

 今年のIPOは11月18日発表分までで170社と、過去最高だった00年(204社)に次ぐ高水準となる。年内上場組の業種もバラエティに富むが、11月30日にジャスダックに上場するイー・トレード証券が注目される。業界最低水準の売買手数料などを背景に、顧客口座数は去年3月末の35万件台が今年9月末に45万件台と着実に増加。今年4-6月における個人投資家の株式委託売買代金に占める同社のシェアは18%とオンライン証券トップ。05年3月期の経常利益は106億円(前期は48億円)と大幅な増益を見込む。(有賀勝久)
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