未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>6.日本アイデックス

2004/12/06 20:43

週刊BCN 2004年12月06日vol.1067掲載

SEには営業スキルも

 日本アイデックス(矢野絖一代表取締役)は、1971年設立の老舗ソフト開発企業だ。

 大手ITベンダーからの下請けとしてではなく、自社の営業担当者が直接営業で受注した案件に対し、顧客の要望に合わせ、個別にカスタマイズしたソフトを提供するビジネスモデルを貫いている。それにも関わらず、営業担当者は全従業員約630人のうち、わずか10人程度しか揃えていない。

 小さい所帯の営業担当者でもビジネスを継続していける理由には、ソフト開発だけでなく、システム構築およびITシステムの運用・保守サービスも提供できる体制を築いていること、そして、ITシステムだけでなく、業務・事務処理関連のアウトソーシングサービスも手がけていることがある。

 単純なソフト開発案件にとどまらず、さまざまな付加サービスを提供することで、顧客単価をアップさせることが可能になり、加えて運用サービスを提供していることが安定した収益につながっている。

 伊藤良幸・取締役システム本部長は、「ソフト開発だけでなく、顧客のバックオフィスをすべて面倒みられることが、単純な受託ソフト開発企業と差別化できている強み」と自信を見せる。「ソフト開発だけを受注した場合でも、後々、ITシステムの運用など、他のビジネスにも結びつき、ソフト開発だけで終わる案件はほとんどない」(伊藤取締役)という。

 そのことから、受託ソフト開発産業で顕在化している単価下落の影響も、「(ソフトの開発単価は)確かに下落している。だが、ソフトだけでなく、さまざまな付加価値サービスを提供しているだけに、それほど影響はない」と、伊藤取締役は強みを強調している。

 営業部隊を支えているのは、「バックオフィスをトータルコーディネートできる」(伊藤取締役)という強みだけではない。もう1つの要因として、約80人のシステムエンジニア(SE)の存在がある。

 日本アイデックスは、SEにソフト開発だけではなく、営業担当者とともに顧客との商談や打ち合わせに同行することを促している。「営業担当者だけでは分からないITシステムの技術や知識も顧客に分かりやすく提案することができ、営業担当者をサポートできる」(伊藤取締役)からだ。

 この取り組みを設立以来一貫して進めているため、“顧客に提案できるSE”、“仕様書をしっかり詰められるSE”が育っていることも強みと言える。

 また、仕様書を顧客としっかりと詰めることで、不採算案件の発生を事前に防ぐことにもつながっている。(木村剛士)
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