大遊泳時代

<大遊泳時代>第51回 振り込め詐欺に声紋どりで対抗

2005/01/10 16:18

週刊BCN 2005年01月10日vol.1071掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 昨年紹介した「架空請求ハガキ」は無視していたら、その後来なくなった。それでも3か月間に4枚も来て、家族の信頼感にもヒビが入りかねない。

 そこへ突然、長年会っていない「甥」から電話があった。「祖父のお墓の場所」を聞いてきた。近頃の若者にしては殊勝なことだ。その後忘れた頃に、「お墓へ行ってきたけど石が割れてるよ。修理しておくから、お金…」とのこと。先祖大事で立派な提案。家内曰く、「なんだか馴れ馴れしくない?」、「○○ちゃんの声は小さい頃からあんな声だった?」、「遠い親戚なのにおかしくない?」──と言われ、そう言われればそうだ──「なんだか新手の振り込め詐欺みたい」ということで、「ではこちらから連絡するので番号を教えて」と言うと、「いやこれは会社のケータイだから、また連絡しますよ」とのことで、その後、年を越してしまった。

 振り込め詐欺は警察庁調べで、昨年前半で5000件を超え100億超の業界?──手口は、①こちらの家庭内を熟知、②相手は複数で芝居、③サイレンなど効果的なBGM、④当の事故本人とは連絡を取らせようとしない、⑤その日の内、急いで振り込ませる、⑥警察が示談はしないのに、警察の名と場を語っているのがみそ!!。

 相手は「名簿が命」、「日々完結がコツ」とのこと。我々は自らが自らの情報を大事にすることである。そして事が起こっても一呼吸おく。誰か別の冷静な人のフィルターを通すことが大切。電話も「声紋」をボタン1つでデータ録音できるようになって欲しい。電話を受信したら、まず最初に「この電話はあなたの声紋を録音してますのでご了承下さい」とアナウンスするようにしたら、どこかのステッカーではないが、格好だけでもかなりの防衛になるのでは──。

 ところでワトソン君!「新年早々お年玉詐欺は来なかったかね」。「いやいや子供たちは、いくつになっても多ければ多いのがいいですからね」。
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