大遊泳時代

<大遊泳時代>第53回 e時代にはe名刺を

2005/01/24 16:18

週刊BCN 2005年01月24日vol.1073掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 子供の頃、大人の名刺に非常なステータスを感じたが、社会人となって使ってみると便利だがこれほど工夫もいるし、注意を要するものもない。

 ある時、職場の女性に遠い九州の飲み屋より、とんでもない請求書が来て驚いた。調べたら、親戚のおじさんに「私の会社は…」ということで名刺を渡したら、同姓だから、このおじさん酔っ払って、間違って姪の名刺を飲み屋に渡したとのこと。

 先日、折角会えたVIPが話し中、私の名刺を小道具代わりにするのには閉口した。パーティーの席、打出の小槌の如く名刺を配るのも、後からデカダンスに陥ることがある。しかし、ビジネスマンにとって、犬のなんとかではないが必ず自分の足跡、印象を残す重要なツールではある。

 ところで皆さん、名刺の管理はどうしてますか?50音順、業種別、年月別…1つ1つパソコンに入れる?携帯にメモる?スキャナで読み取る?名刺管理ソフトに頼る?ITの時代というのに名刺が増えてきた。しかもアドレスにはe─mail、URL、携帯ナンバーまで書いて欲しいと言われることも多い。

 問題はたった9・1cm×5・5cmのサイズでありながら、全く標準化されていないことである。名刺レイアウト、書き順、社名の書き方…しかも各会社CI、ロゴだのなんだのといってこれほどムダなものはない。これこそJIS規格でタイプAとかBとかいって、この際e名刺に統一してはどうかな。

 バーコードを入れるとか、ICタグを入れるとか、いっそのこと携帯に名刺を入れておいて対面の時、ブルートゥースで飛ばし合いすればよい。本当に馬鹿の壁にぶちあたっているような気がしてならない。

 ねえワトソン君!!「『昔、日本人は名刺好きで外国人は使わない』と言っていたが、今は違うね」。「これこそ日本発のグローバル化ですね」。
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