未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>22.フィクス

2005/04/04 20:43

週刊BCN 2005年04月04日vol.1083掲載

パソコンソフトを100円で

 受託ソフト開発や情報システムのインテグレーション、保守サポートなど企業向けビジネスをメインに手がけてきたフィクス(若生英雅社長)は、2002年からコンシューマ向けのソフト開発・販売事業に着手している。それが「100円でパソコンソフトを売る」ビジネス。

 フィクスがコンシューマ向けのソフト開発・販売事業に参入し、100円でソフトを売り始めたのは、02年5月から。自社のソフト開発者と、外部のソフト開発会社を活用して開発体制を整備。100円という超低価格でソフトを販売することで、「パソコンをさほど利用していないユーザーにアプローチすることを狙った」(野島昭男・企画・営業部部長)という。

 幼稚園や小学校に通う子供達をユーザーターゲットとして、ゲームや学習ソフトを中心にラインアップを揃え、現在は40タイトルまで増えている。

 子供を持つ主婦が主な購入者層となり、これまで販売した本数は210万本を超えた。パソコン専門店や家電量販店だけでなく、コンビニエンスストアや書店、100円ショップなど通常パソコンソフトを販売していないチャネルも活用したことで、パソコンには縁遠かったユーザーを獲得した。

 従来のパソコンソフトの流通・販売経路にとらわれない販売戦略が奏功したわけだ。

 さらに、昨年からは新たに文房具店やホームセンター、ドラッグストアなどでも販売を開始。パソコンショップが販売するショップオリジナルパソコンへのバンドル提供や、ポータルサイト「ヤフージャパン」のダウンロード販売コーナーでも販売を始め、多様な販売チャネルの構築にますます拍車をかけている。

 ただ、100円という低価格では、利益がほとんど取れない。そのため、ソフトが起動する前に、広告を表示する仕組みを組み込んだ。購入者層が「パソコンを使う主婦」であることが、主婦に告知・プロモーションしたい企業を広告主として集めており、広告ビジネスを収益の柱とした。

 今後は、ラインアップを急激に増やすつもりはないものの、コンテンツを学習用教材に絞り込んでいく方針だ。

「当社のメイン事業はあくまで企業向けのソフト・システム開発とサポート」(野島部長)としているが、異質のコンシューマ事業部門が、着実に存在感を増している。(木村剛士)
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