視点

新入社員はどう一丁前になるか

2005/04/25 16:41

週刊BCN 2005年04月25日vol.1086掲載

 エイプリルフールには、社長の訓示が新聞に載る。読むに堪えるものがどうも少ない。そういう企業で、春から夏にかけて、新入社員教育が盛んになる。どんな中身かとても気になるが、社長よりはましな教育がされていると信じたい。日本の企業は、中間管理職でもっているようなところがあるからだ。

 送り出す大学の方から、どんな学生が伸びるかという視点について、ちょっと感想を述べよう。視点子のセミナーや卒業研究(卒論を書く)の学生は、この指とまれ方式で参加希望し、くじ引きで半数前後になった普通の若者だ。

 バブル(泡沫経済)の頃に比べて、このところ学生が変ったように感じられる。視点子の大学は小さなカレッジのようなところだが、戦前の旧制1高の学生とメンタリティは似たり寄ったりだ。もちろん、デカルトもカントもショーペンハウエルもひけらかさないが、考えていることは決してひけをとらない。昨年、単位不足気味でかつかつ卒業した学生が、1年目から議員秘書を張っているような例はざらだ。

 ちなみに、情報関係のなかでもプログラマを例に取ると、伸びるプログラマの基本条件は次の3つの素養とされてきた。

・母国語(国語力)

・ユーモア

・体力

 つまり、数学や物理学ではない基本的な読み書き算盤であり、勤め人とは何ほどのものかはと判断できるゆとりであり、必ずしも体育会系でなくてもいいが持続力である。この国では、昔から「知情意」という言葉があったが。

 IT業界で、30年この基本3条件が真実であることを確認してきたが、大学生も似たようなものだと、センコー稼業10年でやっと気がついた。最初は、教えたいこと、教えるべきことだけを一生懸命披露してみせたが、学生が受けつけるわけもない。いわゆる優等生タイプが、コンピュータやソフトウェアをそれなりに習得して、国家試験にたまに受かったりしたが、卒業後伸びるかというと、必ずしもそうでない。

 学生の就職はいろんな意味で一生モノだ。学生にとっても、企業にとってもそうだ。企業が、どういう学生を伸ばす「哲学」をもっているのか、大学サイドではとても気になる。クロネコヤマトのような企業がたくさん伸びてくれることを、心から願うものである。

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