e-Japanのあした 2005

<e-Japanのあした 2005>48.電子政府・電子自治体戦略会議(下)

2005/08/15 16:18

週刊BCN 2005年08月15日vol.1101掲載

 先月末に開催された電子政府・電子自治体戦略会議(主催・日本経済新聞社)では、地方自治体のトップから電子自治体の推進による業務改善効果に期待する声が相次いだ。業務の集中化などで人員削減を進める一方で、地方自治体の連携によるシステム開発・運営費用の削減事例が報告された。今月開かれた総務省の「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」でも、共同アウトソーシング事業で開発した各種システムを、独自開発した場合との比較で導入効果を試算。効率的な電子自治体構築に向けた取り組みが一段と進んできた。(ジャーナリスト 千葉利宏)

 岩手県では、今月から電子申請システムが第1次稼動。来年の第2次稼動で行政手続き全体の95%を電子化するほか、来月には統合GIS(地理情報システム)、来年6月には電子納付システムを稼動する予定だ。全体の50%で電子申請が利用されるようになれば、2009年度までに約2億8000万円の経費削減が見込まれるほか、住民側にも交通費負担の軽減などで計約12億円のメリットがあると試算する。

 京都府では、予算編成プロセスの情報公開や住民からの問い合わせに答えるFAQシステムやコールセンターなど電子自治体システムで情報の共有化を進めるとともに、電子決裁システムの導入や総務事務の集中化などで業務改善に取り組む。電子決裁システムでは知事決裁案件で平均20日かかっていた期間を10日以下に短縮する。総務事務の集中化では総務事務担当者400人を半減する計画で、人件費だけで年20億円程度の削減効果が見込めるという。

 静岡県は、03年度からニューパブリックマネジメント(NPM=新公共経営)を導入して行政運営の生産性向上に取り組んできた。98年度から業務棚卸表を作成して行政改革に取り組み、業務の集中化や外部委託などで7年間に職員787人を純減、人件費で78億円を削減した。うち総務事務の集中化では25人を削減、03年度に総務センターを設置してアウトソーシングを実施したことで16人、合計41人、年3億5000万円の削減効果を得た。さらに、県と市町村とで地方税の一元化にも着手。地方自治法上の広域連合組織として地方税機構を設置して将来的には国税も含めた税のワンストップサービスまで発展させたい考えだ。具体的な効果として、県と市町村で2100人体制の税務職員を700人削減して50億-60億円の人件費削減、税務システムの統合で15億円の運営費削減、収納率向上で320億円の増収効果を合わせて、年400億円規模のメリットが見込めるとしている。

 効率的な電子自治体システムの構築では、千葉県浦安市から県内7市で組織する電子自治体経営推進協議会の事例が報告された。浦安市は、統合GISを活用して業務改善に取り組んでおり、例えば5年に1度実施する都市計画基礎調査では、従来かかっていた経費1500万円を360万円に削減できたほか、統合GISによって統合した建築指導支援システムなど5システム合計では3年で6300万円の経費削減を行った。統合GISは経費削減だけでなく、新しい市民サービスにも活用されている。

 浦安市では、03年に市川、船橋、松戸の3市に呼びかけてIT広域連合を結成し、現在では市原、木更津、君津が加わり7市で協議会を運営している。この7市で、浦安市が開発した統合GISをジョイントアクティブマップ(JAM)の名称で共同利用を始めている。さらに、来年度からはASP(アプリケーションの期間貸し)サービスをスタートする計画。著作権使用料として年7万2000円の費用で利用できる仕組みとする予定で、34団体が参加してくれれば運営経費がまかなえる計算だが、すでに9府県、21市区町村から問い合わせが入っているという。

 電子自治体システムの共同利用では、総務省でも共同アウトソーシング事業を推進してきた。これまでに庶務事務、財務会計、共有財産管理などのシステムが開発済みで、7月に北海道を座長にして同事業の成果物を各自治体に積極的に利用してもらおうと「共同アウトソーシング推進協議会」が発足した。システムの共同開発やASPサービスなどを使用しやすい環境に整えて、電子自治体の構築を積極的に支援していくことにしている。
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