未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>76.ブレインセラーズ・ドットコム

2006/05/15 20:43

週刊BCN 2006年05月15日vol.1137掲載

“瞬時に”PDF作成

 2000年1月設立のブレインセラーズ・ドットコム(渡邉治巳社長)の主軸ソフトは、PDF作成ソフト「biz-Stream(ビズストリーム)」だ。

 PDF作成といえば、アドビシステムズが開発・販売する「Acrobat(アクロバット)」が市場を席巻している。最近では、ソースネクストの「いきなりPDFシリーズ」などの低価格製品も登場しており、ますます競争は熾烈な状況。だが、ブレインセラーズは、あえてこの市場に挑んでいる。特許出願中で「瞬時にPDFを作成できる、他社には絶対に真似できない独自技術を持つ」(渡邉社長)からだ。

 中国北京市にある清華大学の学生と共同研究体制を築いており、“瞬時に”PDFを作成できる技術を開発した。ベンチャー企業では優秀な開発者を確保しにくいが、海外大学生との連携で開発体制を確立した。

 PDFを作成する場合は通常、データを「Word」や「Excel」などのアプリケーションソフトでPDFにしたいドキュメントを作成した後、PDF作成ソフトで変換する。だが、ビズストリームではその必要がない。デザインテンプレートにデータを入力するだけで、PDFを数秒で作ることができる。ITスキルのないユーザーでも、容易にそれぞれの希望に合せたデザインを作成できる専用ソフトを搭載しており、帳票作成に役立てることができる。

 帳票作成以外にも利用価値はある。第一号ユーザーである全日本空輸ではエンドユーザー向けサービスでビズストリームを活用。ウェブサイトで時刻表をPDFで閲覧・印刷するのに使用している。ユーザーが知りたい空港便の時刻表を選びクリックすれば、数秒でPDFを作成し、ウェブサイト上にアップすることができる。ユーザーが印刷するケースが多い時刻表は、HTMLだとすべてを印刷できないケースがあるが、PDFではその心配がないため、使い勝手がよい。

 ビズストリームは、全日本空輸のほか三菱東京UFJ銀行、大塚商会、サントリー、インボイスなど01年4月の発売以来400社、1000本以上を出荷した。直販のほか販売代理店を通じた間接販売も行い、全体の約6割が代理店経由で販売されている。代理店は、富士ソフトABCなど約20社となっている。

 今年度(06年12月期)の売上高は約4億円を見込み、来年度では売上高6億円、最終利益1億円を計画している。ビズストリームを製品の主軸に置く方針は変わらないが、瞬時にPDFを作成する技術を応用した新ラインアップのリリースも検討中だ。(木村剛士)
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