IT Stock Frontline

ゲーム機の両雄が激突

2006/05/29 16:04

週刊BCN 2006年05月29日vol.1139掲載

任天堂株が高値更新

 任天堂の株価が高値を更新して1万9000円台まで上昇。昨年8月の安値1万1000円台からは70%超の上昇になっている。

 5月10日から世界最大のゲーム見本市「E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)」が開かれたが、任天堂が今年末に投入する家庭用ゲーム機の新製品「Wii(ウィー)」への評価が高く、ソニーの「プレイステーション3(PS3)」と比較した価格競争力、またソフトの充実ぶりなどが株式市場でも注目されている。

 4月発売の携帯型ゲーム機「DSライト」の出荷が予定を上回るペースとなっていることも注目される。DSは操作のしやすさで幅広い年代の支持を得て、国内で750万台を販売。

 一方、ソニー・コンピュータエンタテインメントは「PS3」を11月11日に国内発売すると発表した。回復途上にあるソニーの業績を左右する新製品だけに株式市場の反応が注目されたが、発表直後こそソニーの株価は上昇したものの、その後は下落。価格設定などを巡り株式市場の評価は分かれた格好だ。

 20GBのHDD搭載型の希望小売価格は5万9800円と事前の予想に比べて高め。これが普及のスピードを鈍らせる懸念がある。PS3は次世代DVD「ブルーレイ・ディスク」の再生も可能なためデジタル家電との捉え方もできる。しかし、次世代DVDプレーヤーの価格下落が進めば、デジタル家電としてのPSのお得感は薄れることになる。PS3がどう動くかの見極めにはまだ時間が必要だろう。 

  為替相場は1ドル=110円を突破する円高で、輸出型ハイテク株全体に逆風が吹いている。ソニーの2007年3月期の業績予想の前提は1ドル=113円。このまま円高が進めば業績予想の見直しも先行き考えられるだけに株価は低空飛行が続きそうだ。(有賀勝久)
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