売上高アップのカギは先進技術とM&A

コスト削減にオフショア開発も活用

 「コストダウン」と「付加価値事業の創造」という2つの側面から、2009年度(10年3月期)経常利益率2ケタの確保に向けて邁進するSRA(鹿島亨社長)。販管費比率を下げて“筋肉質な会社”に近づきつつあるが、開発コスト削減の面でも大きな武器を持っている。それは海外の開発拠点の活用だ。

 SRAは、子会社としてインドと中国に開発拠点を抱える。鹿島社長は米SRAの社長だった時に、このオフショア開発拠点を積極活用して開発コストを削減した実績がある。日本法人の社長に就任した時はまだオフショア開発に積極的ではなかったので、米国での成功体験を横展開している。とくに、インド拠点の活用は活発で、今年度800人月の発注を計画、その後も毎年800人月ずつ増やす予定。08年度のインドへの発注は2400人月にのぼることになる。

 「インドに発注することにより、1人月50万円のコストが削れる」(鹿島社長)。計画通りにいけば、今年度は4億円のコストが削減できる。開発文化や言語の違いで開発期間がのびてしまう独特の問題を、国をまたいだ横断的な共通開発環境を整備したことで解決している。

 一方、「付加価値事業の追求」による売上高アップ施策はどうか。ソフト開発事業を40年も手がけてきたSRAは、「常に先進技術を追求してきた」という。そのSRAが力を注ぐのがOSS(オープンソースソフトウェア)とSOA(サービス指向アーキテクチャ)だ。OSSでは、昨年6月に陣頭指揮をとる事業部を米国に移して、OSSの専門会社を設立した。一方、SOAではまだビジネスに大きく結びついているとは言い難いが、「SOA実行環境」を無償公開。新ビジネス創出の準備を進める。

 「SRAにしかできないという強みを持つことが最大の付加価値」という考えのもと、新技術の追求を進めている。OSSとSOAはどちらも、新ビジネスを創出するという意味が強いが、開発効率を上げるメリットもある。その点でも鹿島社長は重要視しているのだ。このほか、今年度は新規ビジネスを立ち上げるための布石として「ニュービジネス創造事業部」と「基盤技術推進事業部」という専門組織を設置。目先の売り上げや利益を追わずに、研究開発に没頭できる人員も確保している。

 そして、売上高アップ、利益率向上のために今年度から本格的に着手するのがM&Aだ。利益率が高く、不採算案件が発生しにくい顧客との直接取引案件。それを増やすためには、「ある程度の売上規模が必要」との考えから、ソフト開発企業の買収に本腰を入れる。買収される企業がSRAグループに入りやすくするために、持ち株会社制への移行も決断した。

 原価率を下げ売上高をアップさせるシンプルな戦略を、多様な施策で進めているSRA。地道に続けてきたコスト削減施策と持ち前の技術力、そしてM&Aによる展開。来年、40周年を迎える独立系ソフト開発企業は、昨年度の痛みを乗り越え、経常利益率2ケタの確保という高収益体質実現に向けて、攻めの経営に乗り出す。