厚くなりすぎた組織の壁を崩す

トップ交代を機に機構改革スタート

 日本電子計算(JIP、内池正名社長)は不採算案件を半減させ、昨年度(2006年3月期)に黒字転換を果たした。05年6月に就任した内池社長が矢継ぎ早に打った施策が出血(赤字)を止める成果となって現れてきた。

 とはいうものの、本来計画していた目標と比べれば差異は大きいと言わざるを得ない。

 04-06年度の第9次中期経営計画では06年度連結売上高470億円、営業利益率8%を目指していた。これに対して実際の連結売上高は前年度比2.1%減の375億円、営業利益は10.8%減の10億円、経常利益は17.5%減の9億5000万円を見込むという手堅い数字。営業利益率は中計目標値よりも5.3ポイント低い2.7%にとどまる見通しだ。

 自治体向けのシステム構築ビジネスを得意としているJIPにとって、平成の市町村大合併の収束はマイナス要因であることは否めない。これに不採算案件が追い打ちをかけた。昨年度の不採算案件は約18億円で、この前の年に比べれば半減したものの、成長路線へ切り替えるにはより踏み込んだ改革が不可欠だった。

 社内には、「変わらなければならない」と変化を求める声が日増しに強くなり、今年4月から組織の大改革を断行。10月には同じ日本証券金融グループの日本証券代行との経営統合に踏み切る予定だ。

 日本IBMから転籍し、05年4月、JIP顧問に就任した内池氏が最初に着目したのは「営業、開発、運用」というSIerの基本プロセスだった。当時は自治体や証券、一般産業向けなどの事業部制を敷いていたが、事業部の壁が厚くなりすぎて基本プロセスが見えにくくなっていた。「思ったよりも保守的に感じた」と1年前を振り返る。

 社長就任直後に若手中堅の社員によるタスクフォースを立ち上げ、「構造改革のあり方を考えてほしい」と指示を出した。どのような改革が必要なのかは個々のメンバーで考え方の違いはあったが、「変わらなければならないというメンバーの強い意志が、みなぎっていた」と、新社長の下で本格的な改革がスタートした。

  05年7月1日付で、事業部を横串にして全社戦略を立案する「経営戦略本部」と、開発プロジェクトを支援するプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)機能を持たせた「システム管理部」を、それぞれ10人程度の組織として新設した。中堅若手ばかりで固めるのではなく、55歳で定年になったベテラン社員の再登用も行ってバランスをとった。

 9月からは個々の事業部のなかに埋もれているトラブル要因を分析する委員会をつくり、不採算案件の兆候が見られるプロジェクトを全社で解決する“クリティカルマスエスカレーション”(緊急時の問題提起)の仕組みを新設した。(つづく)(安藤章司●取材/文)